秋山エライ! 阪神秋山拓巳投手(26)がチーム一番乗りの7年ぶり完投で3勝目をマーク。中日打線を6安打1失点に抑え、自己最多の12奪三振もマーク。1年目に4勝を挙げて以来、鳴かず飛ばずだったが、8年目の今季完全にブレークした。金本監督も頼れる男を大絶賛。新火曜日の男が虎の進撃を引っ張る。

 秋山が甲子園の夜空に両手を突き上げ、満面の笑みを浮かべた。130球を投げ、6安打1失点のナイスピッチ。今季チーム一番乗り、自身7年ぶりの完投でゲームを締めた。

 秋山 先発をやっているんで長いイニングを投げることが一番ですが、今回は1人で投げ抜けて、役目を果たせたかなと思います。

 毎回走者を背負ったが粘った。そんな秋山を盛り立てようと打線が奮起。大量援護を受けた。「5回に糸原が打ってくれて、完投しないといけないと思った」。6回以降で走者を出したのは1度だけだ。8回を投げ終わった時、指揮官から「行きたいか」と聞かれた。迷わず「行きます」と即答。強い意志で投げ切った。

 前回、変化球主体だった投球から直球メインの投球にチェンジ。真っすぐを軸にスライダーやカーブなどを丁寧にコースに投げ分けた。この日奪った自己最多の12三振のうち、11個の決め球が直球を占めた。

 5日のことだった。翌日にプロ初先発を控えたドラフト6位新人福永が1軍に合流。その時、アテンドしたのが秋山だった。キャッチボールの相手を務め、困っていれば声を掛けた。「担当スカウトが一緒だったし、面倒をちゃんとみないとね」。秋山は愛媛・西条高で、福永は四国IL・徳島出身。入団を導いたのは同じ山本スカウトという縁があった。マウンド以外でも、精神的にたくましくなったところを見せた。

 1年目の10年4勝を挙げて以来、何度も壁にはね返されたが、今年一気にブレークした。中日からはプロ初勝利でこれでセ・リーグ5球団から白星をゲット。金本監督は「今年、先発6番手で入ったピッチャーが最初に完投して、うれしい」と目を細めた。開幕ローテは6番手だったが、今や週頭の火曜日を任されるほどの信頼感。8年目右腕が首位を行くチームを引っ張る。【山川智之】

 ▼秋山は今季、43三振を奪い与四球わずか3と、抜群の安定感を誇る。奪三振数÷与四球数で計算し、制球力と奪三振能力を計る、セイバーメトリクス「K/BB」は14・33と、セ・パ両リーグ規定投球回到達者の37人中圧倒的な1位(パ1位は日本ハム加藤5・14)。