東海大北海道が、勝利チームが優勝する星槎道都大との直接対決を6-1で制し、3季連続4度目のリーグ制覇を果たした。昨年は絶対的エース水野滉也投手(現DeNA)を擁し全日本大学選手権8強進出も、今季は開幕戦の北海学園大戦で無安打に抑えられ黒星発進。主力が抜け戦力ダウンした中、どん底からはい上がり王座を守った。全日本大学選手権(6月5日開幕、神宮ほか)には、北海道6大学リーグ所属時代を含め通算7度目の出場となる。

 苦しんだ分、喜びは大きかった。優勝の瞬間、東海大北海道の中西郁人主将(4年=東海大四)は涙が止まらなかった。「自分たちの代で途切れさせたくなかった。みんなのおかげです」。3回2死から自ら左前打で出塁し、先制のホームを踏んだ。先頭に立ってチームをまとめてきた主将は、仲間に胴上げされ、円山の空を3度舞った。

 昨年はエース水野、主砲伊藤諄と投打の軸がいた。主力の4年生が一度に卒業して迎えたシーズン。下馬評を覆そうと臨んだ開幕戦は、昨秋最下位の北海学園大に無安打で敗れた。「今年は道都大が強くて東海は弱いという声を何度も聞いた。悔しかった」。試合後、すぐに大学に戻り昼食も取らずに緊急打撃練習。緊急オペで、2戦目の北翔大には勝ったが、3戦目の北大戦で再び黒星と、勢いは出なかった。

 「去年のように個では勝てない。それなのに、チーム全員が試合に入り込めていない雰囲気があった」。2敗目を喫した北大戦後のミーティングで、中西は心構えからたたき直すため、2つのおきてを設けた。(1)外野フライでも二塁まで走る(2)守備に向かうときは全力疾走。野球に向かう姿勢から改めることを、口酸っぱく言い続けた。

 この日、先制適時左前打の松永遼介(2年=関東第一)は「中西さんが嫌われ役になってくれた。ゴミひとつまでうるさかった。でも最後に粘りを出せたのは、そういう日頃の心がけがあったから」と言う。4戦目以降は6勝1敗、ライバル星槎道都大には2戦全勝と、気持ちの変化は、おのずと王座を引き寄せた。

 全日本大学選手権は、初戦で東洋大(東都大学)と対戦する。昨季全国8強の先輩たちに比べれば、まだスタートライン。中西は「力はなくても、やれることをやれば、結果はついてくる」と前を向く。小さなことからこつこつと-。自力で弱さを克服した東海大北海道が、全国でも地道に勝利を積み上げていく。【永野高輔】