セ界の絶対エースがパ・リーグ首位楽天の前に立ちはだかる。巨人菅野智之投手(27)が杜(もり)の都に降り立った。今日30日の交流戦開幕、楽天戦に向け29日、Koboパーク宮城で最終調整。プロ1年目の日本シリーズ第6戦で、その年のポストシーズンを含め公式戦26連勝中だった現ヤンキース田中に黒星をつけた「思い出の地」で、再び楽天を沈める覚悟を示した。

 外野席後方に観覧車がそびえ立つ敵地に菅野が帰ってきた。投内連係を確認し終えると、外野に場所を移し、平地で強めのキャッチボールで体のバランスを確認。最後は俊敏性を鍛えるメニューで調整を仕上げた。「相手は強力打線。今はチームの流れが悪いかもしれないけど、3連戦の頭をとって、新しい流れができるように頑張ります」と猛打を誇る楽天打線との勝負を見据えた。

 Koboパーク宮城は特別なマウンドとして胸に刻まれている。プロ1年目の13年日本シリーズ。負ければ敗退の第6戦の先発を任された。当時、無双状態にあった相手エース田中(現ヤンキース)との投げ合いを7回2失点の好投で制した。「ここは思い出深い球場。あの経験は今の自分にとって大きいことだと思っている。いろんなことを思い出しながら投げれば力になる」と4年前の大一番を回想しながら今日30日のマウンドをイメージした。

 今季はここまで8試合に登板し3連続完封を含む6勝をマーク。防御率1・58とともにリーグトップに君臨している。一方でチームは4連敗中で借金1で交流戦開幕を迎え、高橋監督は「明日は菅野に任せます。抑えているうちにどう点を取るか」とエースに大きな役割を委ねた。菅野も「重要性はチームとして、みんなが分かっている。今までのことを踏まえてのスタートになる」。自信だけを持ってマウンドに上がる。【為田聡史】