日本ハムの2年ぶりのリーグ優勝が完全消滅した。ソフトバンクとの今季リーグ最終戦(ヤフオクドーム)に敗れ、残り11試合を全勝しても首位西武を上回れず、リーグ2位以下が確定した。勝負どころの8、9月を17勝22敗2分けと波に乗れなかった。対ソフトバンクは7連敗となったが、先発した上沢直之投手(24)は8回2失点完投。クライマックスシリーズ(CS)で対戦が濃厚な相手に爪痕を残した。

紡いできた細い糸が、ついに切れた。日本ハムの2年ぶりリーグ優勝の夢が、途絶えた。2点を追う9回2死。清宮のソロで一矢報いたが、反撃は遅かった。今季最後のソフトバンク戦は、7連敗で終幕。首位西武の背中は、12ゲーム差まで遠くなった。「優勝を逃したことに関しては、オレの責任なので。それは十分、感じています」。現実を受け入れた栗山監督は、サバサバした表情で言葉を選んだ。

講じた策に、勝利は付いてこなかった。先発上沢は今季ソフトバンク戦4勝1敗、防御率2・91。チーム勝ち頭11勝のエースに試合を託した。0-0の5回1死二塁、松田宣に決勝点となる2ランを浴びた。主導権を引き渡した1発は、22日楽天戦5回からこの日5回まで18イニング連続無得点中の打線に重くのしかかった。前日23日同戦は、内野安打2本の完封負け。起爆剤と期待された大田が、この2連戦8打数無安打に沈むなど、一向に上向かなかった。反撃の糸口すらつかめず、9回2死から放った清宮の1発が精いっぱいだった。

収穫は、上沢が体現した責任感だった。2点ビハインドの7回2死。再び松田宣の前に安打で走者を出した。その瞬間。マウンドでしゃがみ込み、グラブをたたき付けた。空振り三振で後続を断ったが、自らが再び招いたピンチに、珍しく感情を爆発させた。この試合の重要性を誰より知る男は、2点は失ったが8回を118球で完投。自身2度目の2桁、自己最多を3つ更新する14奪三振の力投を見せた。「ここから先、しっかり諦めずに最後まで戦うことが大事」と前を向いた。

CSファーストステージで対戦濃厚な相手に、痛恨の連敗となった。指揮官は「オレに何が足りなかったのか、しっかり考えるので1日くれよ」と報道陣に頼み込んだ。明日26日オリックス戦(京セラドーム)から、最終盤9連戦がスタートする。「まだまだ日本一のチャンス、勝負が出来る。日本一だけ見据えて、しっかりやります」。さらなる先にある頂へ、夢をつないでいく。【田中彩友美】