虎が17年ぶり最下位確定という危機を抱え、今日8日のヤクルト戦(神宮)を迎えることになった。この日、デーゲームで4位DeNAが勝利したため今季の5位以下が確定。臨んだナイターでのヤクルト戦で完封負けし、金本監督就任以降ワーストの77敗目を喫した。今日負ければ今季最下位が決まるところまで来てしまった。意地の勝利を、ギラギラしたプレーを、虎党は待っている。

頭上から痛烈な罵声が飛んできた。敗色濃厚の8回だ。先頭板山の内野安打を巡ってリクエストに入ったとき、神宮の三塁側ベンチに向かって男性が怒りをあらわに叫ぶ。「声出せよ、お前ら!! やる気あんのか!!」。ワンサイドゲームで敗戦。金本監督も容赦なき怒声を浴び続けた。

無理はない。ヤクルト戦は22年ぶり9連敗。再び今季最多の借金17を背負う。金本監督も「う~ん…。原因はいろいろあると思うけど、何とかしないとね、明日、ホント」と渋い表情を崩さなかった。勝てないチームの象徴的な試合運びだった。打てない、抑えられない。キッカケが見えず淡々と敗れたように映った。

先発岩貞の乱調で計算が狂った。金本監督も「何か…。ヨーイドンで3点ですからね」と指摘する。立ち上がりから球が上ずり、絶好球になった。先頭坂口に右前へ運ばれ、山田哲も左前打。バレンティンへの2球目だ。甘い外角高め速球を強振され、ライナーは右翼線を襲う。先制適時二塁打になった。雄平の打球は高くバウンドして右前へ。連続適時打を許すなど、4連打を食らって3失点。弱り切った虎にとって、重すぎるビハインドになった。

今季、猛打を振るった神宮で、もはや打線も力を失っていた。5回無死一、二塁。反撃機で中谷が変化球を引っ掛け、遊撃併殺打に倒れた。6回1死一塁で陽川が同じダブルプレー…。7回は無死一塁で梅野がまたも併殺だ。気合は空回りし、指揮官は「しょうがないからね、もう。打たせているわけですから」と振り返った。3イニング連続で「6→4→3」の併殺打を食らう赤っ恥で、今季14度目の完封負けを喫した。

この日、4位DeNAがマツダスタジアムで広島に勝ったため、阪神は今季の5位以下が確定。さらに残り4試合で1敗すれば、野村監督が率いた01年以来、17年ぶりの最下位が確定。今日8日に負ければ悪夢を見る。指揮官は8回に気迫のヘッドスライディングで安打をもぎ取った板山を評する。「若い選手が多い。『何とか』という気持ち。もっとアピールしないと。ハツラツと。ギラギラしてプレーして欲しい」。せめて意地を見たい。今季のチームスローガン「執念」が泣いている。【酒井俊作】