ソフトバンク工藤公康監督(55)が攻めの采配を貫き、CSファイナルステージを突破した。先攻となる敵地で4勝すべて先制点を奪った。「先に攻めるのは悪くない」。この日も初回から速攻だった。1番上林が初球を右翼へ二塁打。明石が死球で出塁すると、続くグラシアルは自らの判断で初球を一、二塁間へプッシュバント。内野安打で満塁とすると、柳田の先制3点適時打につなげた。ノーサインでの奇襲に工藤監督は「ビックリした。頭脳プレー。勇気を持ってやってくれた」と喜んだ。

シーズンでは西武に6・5ゲーム差をつけられ2位に終わり、連覇を逃した。「挑戦する気持ち。それだけだった」。その言葉を采配で示してみせた。第2戦からミランダ、千賀、東浜と中4日の強攻ローテーション。谷間のこの日はシーズン0勝ルーキーの高橋礼を先発させた。第3戦では工藤政権で不動の三塁手松田宣を不振のためスタメンから外した。「苦渋の決断だった」が、吉と出た。代わりに出た内川が結果を出したが、この日は先発ウルフとの相性のよさを買い、長谷川勇を先発起用。松田宣、内川ともベンチスタートで戦った。

後藤球団社長は「決断ができるのがリーダー。チームが勝つために、よりよい選択ができる。僕らも見習わないといけない」と話し、世界的な巨大企業ソフトバンクグループの金庫番をうならせた。63安打44得点で山賊打線を圧倒した工藤監督は「広島は西武と同じで打ち勝ってきた。しっかり準備したい」。202発打線で連続日本一をつかみにいく。【石橋隆雄】