日本ハムが23年開業を目指す新球場に関する記者説明会が12日、都内の電通本社ビルで行われた。

11月5日に発表されたイメージ動画が放映され、新球場建設の準備会社として設立された「北海道ボールパーク」の三谷仁志取締役らが概要を説明した。

日本初の開閉式屋根を持った天然芝球場を作る。スタンド席は約3万2000席、球場外も含めて約3000人が立ち見で試合を観戦することを想定している。周辺施設も北海道らしい自然があふれたエンターテインメント施設を配置予定で、国内外から幅広く事業参加するパートナー=企業を探している。

三谷取締役は「日本もスポーツを産業に、という中で課題はハードにあると思っていました」と話した。プロ野球界のハードは球場だ。現状は野球を見たい、ひいきのチームを応援したいから球場へ足を運ぶことがスタンダード。プロ野球開催日でなければ、イベントがないと球場周辺は閑散としている場所も多い。

新球場では「楽しい施設があるから」「あの食べ物がおいしいから」「仲間と会えるから」といったように球場へ足を運ぶきっかけも多様になるような仕掛けを施していく。従来の「野球を見る場所」から「人々が集う場所」へ変貌すれば、社会・地域の新たなコミュニティーを創造することにも寄与できる。

現状では、めったにない平日デーゲームを多くするプランもある。三谷取締役は「平日の昼なら会社員の方が商談の場として球場を使用することもできる」と例を挙げた。また、働き方改革が叫ばれる昨今。日本ハムの試合に合わせて仕事を切り上げたり、福利厚生としてデーゲーム観戦を取り入れる企業が現れるかもしれない。そうやって、これまで球場と縁のなかった新規の来場者が増えれば、再び足を運んでくれるリピーターにつなげられる可能性も生まれる。

日本ハムの新球場建設は、日本におけるスポーツビジネスの概念を変える可能性が高い。そのためには魅力いっぱいのボールパークにする必要がある。三谷取締役は集まった報道陣へ「共同創造空間です。みなさんからも、いろいろなご提案をいただければと思います」とお願いした。世界一のボールパーク建設へ、幅広く意見を聞きながら進んでいく。【木下大輔】