阪神の春季キャンプ地、沖縄・宜野座村が「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」を大改修している。ブルペンを改造し、トレーニングルームなどを新設。矢野監督が推奨するサイン会などが行いやすいよう、宜野座ドームの外周も整備中だ。工事は年内に完了見込みで、いざ2月1日のキャンプインへ。14年ぶりのリーグ優勝を全面支援する宜野座村に潜入した。【取材・構成=真柴健】

阪神キャンプ地の宜野座が大変身を遂げている。「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」周辺には、大型クレーン車やトラックが並ぶ。宜野座村役場の球場施設担当・東全志さんは「もうすぐ工事は終わります。年内には終了予定です」と説明。総額5億4000万円を超える改修は選手のため、ファンのため。そこには村の思いがギュッと詰まっていた。

大きな変更はブルペンだ。従来のブルペンを取り壊して屋根付きの全天候型にする。マウンド数は6個と変更はないが、面積を拡張し広々とした快適な空間が特徴だ。「実際、老朽化もしていたので。球団から要望もあり、作り直しました」。他に1階にトレーニングルーム、2階にミーティングルームを備えた施設も新設。これまで投手陣の待機場所は簡易テントだった。より快適な環境を整え技術力アップに一役買う。

ファン目線の改修にも取り組んでいる。宜野座ドームの外周は芝生や土がむき出しだったが、外周に沿って幅約2メートルをコンクリートで固める。東さんは「いつも雨の時、芝生で見ているファンが大変そうなので。ここに並んでもらって、サイン会ができるスペースになればと。お客さんがなるべく選手の近くにいけるように工事しています」と説明した。

きっかけは矢野新監督で臨んだ秋季高知・安芸キャンプだった。「キャンプのニュースを見て、矢野監督に代わってから、観客が増えたそうで。サインをいっぱいするようになったとも聞いたので、ファンの人が安全にキャンプを見られるようにしようと」。

今秋キャンプの観客動員数は15日間で2万8400人で、昨年の2万6300人を上回った。矢野監督が音頭を取って、積極的にファンの求めるサインや写真撮影に応じた。即席のサイン会を開催した日も多く、ファンは大喜び。その光景をファンがSNSにアップするなどして「拡散」し、人が人を呼ぶ活況キャンプとなった。

改修工事は今年3月ごろに始まり、年内には完了予定。満を持して2月のキャンプインに備える。「球団の方と何度も打ち合わせをしました。沖縄に来られたり、私たちが大阪に行ったことも。来年も阪神を全力でバックアップできればと思います」。最下位からの逆襲を期す矢野阪神に一足早いクリスマスプレゼント。球春到来が楽しみだ。

◆かりゆしホテルズボールパーク宜野座 宜野座村野球場として、97年7月に開場した。同村のサイトによると、両翼98メートル、中堅122メートル、収容人数7700人。ナイター設備完備。阪神は03年春季キャンプから使用を始めた。06年にはドーム形の室内練習場も完成。(株)かりゆしが命名権を取得し、18年1月1日から現在の球場名となった。所在地は沖縄県宜野座村字宜野座188。