世界一のレジェンドから「練習の虫」の教えだ。阪神近本光司外野手(25)が26日、大阪市内のホテルで関学大硬式野球部OB会主催の「プロ野球選手を囲む会」に初参加。

「こういう会に呼んでいただけるのはうれしい」。目を輝かせ、25学年先輩のオリックス田口壮野手総合兼打撃コーチ(50)から金言を授かった。

田口氏はオリックスで日本一、メジャーでも2度世界一に貢献した。そんな大先輩が伝えたかったのは、プロで長く活躍する選手には共通点があることだ。「練習量がすごい。イチローはすごいなんてもんじゃなかった。練習は年間通してやっている。継続的に活躍できて初めてプロ」。猛練習なくして一流にはなれないと、端的に言い切った。

田口氏は91年オリックスにドラフト1位入団し、その年の4位がイチロー氏だった。9年間ともにプレーし、2軍選手から「世界のイチロー」になるまでの過程を間近で見てきた。田口氏自身もプロの壁に当たったが、猛練習ではい上がり一時代を築いた。イチロー氏の姿、プラス自己体験。これ以上の重みはない。

関西のライバル球団だが、田口氏は近本の活躍について「めちゃくちゃうれしいですよ」と笑顔。その上で「人と比べる必要はない。自分の色を出していけばいい。息の長い選手になってほしいですし、その素質は十分にある」と背中を押した。田口氏は42歳までプロで20年間第一線を張った。イチロー氏も45歳まで現役を張った。練習の虫だったからこそ2人は長くプレーでき、好成績を残せた。

この日は日本ハム宮西やロッテ荻野も参加し、「関学大OBのプロ野球選手」として、近本も肩を並べた。その宮西も荻野も不断の努力を重ね、プロで10年以上活躍中だ。近本は決意を新たにした。「まだ同じ舞台に立てたとは思っていない。みなさんのように10年以上活躍できるようにしたい」。手本となる先輩諸氏に学び、猛練習で進化を止めない。【只松憲】

田口壮のプロ生活 

◆球歴 1969年(昭44)兵庫・西宮市出身。西宮北-関学大を経て、91年ドラフト1位でオリックス入団。同4位がイチローだった。

◆内野で苦労 走攻守そろった大型遊撃手として期待されたが、デビュー1、2年目はスローイングに難があり苦しんだ。

◆外野で開花 94年途中の外野転向で一気に開花し、主力にのし上がった。強肩を生かしゴールデングラブ賞を5度受賞。イチロー、本西(谷)との外野陣は鉄壁の守備力を誇った。95年からのリーグ2連覇、96年の日本一にも貢献した。

◆メジャーで世界一 01年オフにFA宣言し、米大リーグのカージナルスに移籍。以降8年間でフィリーズ、カブスと3球団でプレー。代打や守備固めなどさまざまな役割をこなし、ワールドシリーズに3度出場、世界一を2度経験した。

◆古巣復帰 10年にオリックスに復帰して2年間プレーし、42歳シーズンの11年オフに戦力外で退団。他球団からオファーがなく、12年9月に現役引退を表明した。日米通算1894試合出場、1601安打。

◆指導者で奮闘 2年間解説者生活を経て16年2軍監督でオリックス復帰。対話路線で若手底上げに力を注ぎ、今季は1軍野手総合兼打撃コーチに就任した。