母の母国を盛り上げる。日本ハム高山優希投手(21)が、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の予選(3月12日~、米アリゾナ州)へ出場するフィリピン代表に選出された。10日、球団が発表した。

日本人の父とフィリピン人の母を持つ左腕は、昨年10月に戦力外通告を受け、同11月に育成選手として再契約。世界大会で活躍し、支配下再登録への足がかりとする。

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驚きもあったが、高山はフィリピン代表としてのWBC予選出場を決めた。「まずはしっかりチームに貢献できるように力を発揮したい。これをきっかけに、少しでも今年(のシーズン)につながれば」。国際大会出場という大きな経験を糧に、飛躍へとつなげたい考えだ。

WBCは両親のどちらかが当該国の国籍を持っているか、出生していれば出場が可能。母がフィリピン人の高山に代表選出の報が届いたのは、自主トレ中の1月。同国でスポーツ発展に尽力している代表コーチの片山圭二さんから「力が必要だ」とオファーを受けた。日本で生まれ、日本で育ち、同国を訪れたのは親戚の集まりがあった小学5年生のときが最後。それでも「母の母国ですし、小学校の時に何回か行っていて思い入れがある。ありがたいオファーなので、とにかく力を出し切って貢献できれば」と話し、球団も了承した。

16年、大阪桐蔭からドラフト5位で入団。最速150キロの直球と、スライダーなどを武器とする左腕として期待されたが、プロ3年間で1軍登板はなし。昨年10月には戦力外通告を受け、同11月に育成選手として再契約した。支配下登録は7月末が期限。大事な開幕前にチームを離れることに「最初は迷いもあった」が、3ケタ背番号からの巻き返しへ、きっかけにしたいと決断した。

3月中旬に渡米し、20日の初戦(対チェコ)に向かう。パナマ、スペインなど6カ国が属する予選2組で上位2チームに与えられる本大会出場を目指す。「プレッシャーとかそういうのは感じていないですけど、今シーズンのパフォーマンス向上へとつなげていきたい」と力を込めた。【山崎純一】

◆高山優希◆ たかやま・ゆうき。1998年(平10)5月17日、大阪府生まれ。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。2年秋の明治神宮大会4強。16年ドラフト5位で日本ハム入団。1軍登板はなく、19年オフに育成契約を結んだ。今季推定年俸440万円。181センチ、82キロ。左投げ左打ち