必ず、帰ってくる。楽天が27日、ロッテ25回戦(楽天生命パーク)に勝利し、リーグ最終戦を白星で締めた。石井一久GM兼監督(48)は指揮1年目の今季、1度も借金を作ることなく66勝62敗15分けの貯金4、3位で終えた。11月6日から、2位ロッテと敵地千葉でクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージがスタート。指揮官は日本シリーズに進出し、再び本拠地仙台へ戻ることを固く誓った。

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“本番”さながらに、楽天ナインがひとつとなった。同点の8回2死一、二塁。代打小深田が佐々木千の落ち球を右前へはじき返す。二走小郷が本塁へ頭から飛び込むと、三塁ベンチ前で何人もの選手が跳び上がり、拳を何度も突き上げた。「銀次さんが敬遠されて、絶対打つという気持ちでいきました」と小深田の執念が実を結んだ。スタジアムが束となって、勝利をもぎ取った。

ただの“消化試合”ではない。今季9勝15敗1分けと苦しみ、CSで対する天敵へ計り知れないダメージを与えた。石井GM兼監督は「ある程度形が見えてきた最終戦でも、うちのチームはだれていなかった。みんなで集中して、1球1球、一打一打、一投一投、本当に集中してやってくれていた」と称賛。求めていたムードが漂ってきた。

指揮官1年目の今季は貯金4で終えた。「監督ってしんどいなと思う。いろんなことを見ながら管理、準備をして、実行に移さないといけないので非常に難しい職業」と痛感。それでも「とにかくイーグルスを前進させないといけないという思いを常に持っている。負けそうな気持ちになる時でも、その気持ちをしっかりと強く持って臨んだ」と常勝軍団形成へ、いばら道もいとわずに、かけがえのない財産を得た。「シーズンと同様の成績がCSで出ると限らない」と逆襲の芽も、はっきりと見えた。

試合後のセレモニー。マイクの前に立ち「口べたで、無表情で、ちゃんと思いが伝わるか分からないですけども…」と空気をつかみながら、普段以上に熱を込めて、声を張り上げた。

「またこの風景を見に、絶対に戻ってきます。皆さんにお会いできる可能性、大きな拍手をもらえる可能性、その挑戦権は得ました。ただ、それを実現するためには舞台は日本シリーズしかありません。皆さん、もう少し、僕たちに力、またご声援、大きな拍手をよろしくお願いします。精いっぱい戦ってきます! また会いましょう!」。

失うものは何もない。さぁ、下克上だ。【桑原幹久】

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