TBSホールディングスが、保有するプロ野球の横浜ベイスターズの売却を検討していることが1日、分かった。TBSの経営環境が厳しくなっていることに加え、相乗効果も薄れているためで、売却先には、トステムやINAXを傘下に持つ住宅設備大手の住生活グループが有力視されている。

 関係者によると、TBSは金融機関を通じて球団売却を複数の企業に打診していた。住生活グループは、傘下のトステムがサッカーJリーグの鹿島アントラーズのスポンサーになるなど、スポーツへの協賛に熱心な企業として知られる。グループのブランド価値の向上が課題で、同社幹部は1日、「前向きに検討したい」と話した。

 TBSは広告収入の落ち込みから、2010年3月期連結決算が23億円の純損失に陥り、民放テレビキー局5社の中で経営不振が目立っていた。

 ベイスターズは今季も3年連続での最下位が決定。プロ野球の魅力も相対的に低下する中、放送権など本業との相乗効果が薄れ、毎年約20億円を広告宣伝費として補てんする球団経営が重荷になっていたという。

 TBSはグループで、球団株式の69・2%を持つ筆頭株主。2002年、水産大手マルハ(現マルハニチロホールディングス)から140億円で取得した。ほかに、フジ・メディア・ホールディングス傘下のニッポン放送が約30%を保有している。

 プロ野球界のルールや手続きを定めた野球協約によると、球団の譲渡は原則として、新球団が参加しようとする年の前年の11月30日までに12球団による実行委員会とオーナー会議での承認が必要。これらに向け交渉しているとみられる。

 譲渡が承認された場合には、新球団は預かり保証金25億円(10年の球団保有で返還)、野球振興協力金4億円、加入手数料1億円の計30億円を日本野球機構に納入しなければならない。(共同)

 [2010年10月1日14時12分]ソーシャルブックマーク