プロ野球巨人の球団代表を解任された清武英利氏が取材に関わった書籍をめぐり、読売新聞東京本社が「七つ森書館」(東京)との復刻出版契約の無効確認を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、東京地裁(渡部勇次裁判長)であり、同書館側は請求棄却を求めた。

 また同日までに、法的根拠を欠く提訴によって、出版社としての信用を失墜させられたとして、約200万円の損害賠償を求めて反訴した。

 訴状によると、問題となった本は「会長はなぜ自殺したか」(1998年)。同書館は昨年5月、著作権を持つ読売側と出版の契約を結んだ。だが清武氏が11月、渡辺恒雄球団会長が巨人のコーチ人事へ不当介入したと告発した後、読売側は契約解除を申し入れた。

 読売側は「権限がない社会部次長がした契約で無効」と主張。復刻に際し、著者名に「清武班」が付け加えられるなどしており、民事訴訟が係争中の清武氏との関係から「到底受け入れられない」としている。

 同書館側とともに記者会見した清武氏は「私の告発と出版は無縁の話。出版妨害とも言え、恥ずかしく残念だ」と話した。

 読売新聞東京本社広報部は「あくまで契約の問題で、提訴は『出版の自由』をいささかも損なわない」とコメントした。(共同)