歴史を塗り替える一打が、ついに飛び出した。ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が15日、東京都新宿区の神宮球場で行われた阪神戦で今季56本目の本塁打を放ち、プロ野球のシーズン最多記録を更新。本拠地での偉業達成を、3万人を超える大観衆が祝福した。

 バレンティン外野手はいきなり1回に強烈な打球を左中間へ飛ばす。打った瞬間に本塁打を確信して両手を突き上げた。一塁側のヤクルトファンは名前を繰り返し呼んで快挙をたたえ、三塁側の阪神ファンからも温かい拍手が送られた。

 バレンティン外野手は「信じられないくらいうれしい」と満面の笑み。3回にも57号を放ち、自ら新記録に花を添えた。来日してスタンドで見守った母アストリットさん(64)は試合後に息子と抱擁を交わし「私は世界で一番幸せなお母さん」と感激の面持ちだった。

 記念のボールは阪神ファンで静岡県袋井市の会社員成岡祥さん(26)がつかみ捕った。席を探している途中に転がってきたそうで、試合後、バレンティン外野手に直接手渡した。サイン入りバットなどをもらい「頭が真っ白。実感が湧かない」と興奮した様子で話した。