<オープン戦:中日3-3ソフトバンク>◇10日◇岐阜

 ソフトバンク松田宣浩内野手(24)が開幕5番へ猛烈にアピールした。3回1死、カウント1―0から中日山本昌の133キロ直球を左翼芝生席に運び去った。「最近結果らしい結果を出せていなかったんで、何としても、という気持ちでした」。3試合ぶりの安打が2号ソロ。胸のもやを晴らした。

 5回にも「本塁打より感触が良かった」という右前打でマルチ安打をマーク。左足付け根痛の影響で2試合欠場し、8日から復帰した。ただ打順は当初の5番から7番、そしてこの日は8番へと降格した。すでに王監督は開幕クリーンアップは3番多村、4番松中、5番松田の「TMM」構想を明かしている。「TMMと言ってもらえてうれしかった。今日は8番。もう1度言ってもらえるようやるしかない」。試合前の思いをバットに乗せた。

 「1年は長いんだし、いろいろ本人に刺激を与えないと。本人がストレートに受け止めて発奮してくれればいい」。王監督の狙いがはまった1発で、9日広島戦から数えて打者延べ20人連続凡退という不名誉な結果に終止符が打たれた。松田の1発をきっかけに打線は3点差を追いつき、引き分け。「花粉症だから失礼するよ」。くしゃみをしながらバスに乗り込んだ指揮官の不快感もちょっぴり晴れた。

 岐阜・中京高時代に駆け回った思い出の球場での凱旋(がいせん)アーチ。客席には小嶋監督ら野球部関係者や友達が詰めかけており「地元の知り合いにいいところを見せられて良かった」と胸をなで下ろした。開幕5番へ残されるのは5試合。「感覚の中で修正できているか分からないけど、タイミングさえ合えば打てると思う」。1号ソロを放った3日阪神戦の打撃フォームを連続写真で分析し、イメージは保ってきた。今日の成果を継続するのみだ。【押谷謙爾】