<オープン戦:中日3-0西武>◇11日◇岡崎

 オレ竜が驚異の投手力でオープン戦首位に立った。11日、西武とのオープン戦(岡崎)では先発した吉見一起投手(23)が7回5安打無失点と好投するなど3度目の零封勝利で3-0と勝利した。これでオープン戦でのチーム防御率は12球団で断トツの1・11。12イニング連続無失点の吉見ですら先発ローテーション確定といかないハイレベルな競争は激化。投手王国中日の今季は、さらにすごみを増した。

 またもスコアボードに「0」が9つ並んだ。吉見、山内、中里の3人によるリレーでオープン戦首位の西武打線を6安打無失点。3度目の零封で、首位の座を奪った。これでチーム防御率は断トツの1・11。このままいけば1966年(昭41)以降では同年阪神の1・25を上回り、42年ぶりのオープン戦防御率の“最高記録”となる。

 ハイレベルな競争が驚異の数字を生んだ。先発吉見の好投が象徴的だった。前回登板では5回を無失点に抑えたが、1試合でも結果が出なければ振るい落とされる緊張感がある。初回、いきなり2安打を浴びて1死一、二塁。「またかと思いました…。でも結果を気にしすぎると自分の投球ができない。打たれたら仕方ないと思った」。昨年はオープン戦中盤の3月14日の阪神戦(小牧)で4回までに8失点と大炎上して2軍落ち。その悪夢が脳裏をよぎった。

 ただ、ここからが吉見の成長だった。4番江藤をストレートで見逃し三振。5番中村を遊ゴロに打ち取って、切り抜けた。「すべての球種を思ったところに投げられた」。最速は146キロながらスライダー、フォーク、パーム、シュートと豊富な球種を思い通りに操った。持ち味の制球力をフルに発揮した。

 これで吉見はオープン戦12イニング連続無失点を継続。他のチームなら先発確定となるところだが、それでもローテーション確定といかないのがオレ竜だ。

 「結果を出している。(先発の)6番目に入っても、外れてもロング(リリーフ)で待機できる。1軍はあると思うよ」。試合後、森バッテリーチーフコーチは“開幕1軍内定”は出したが、先発ローテ入りは保留した。

 先発には川上、朝倉、中田、小笠原、山井の確定組に続き、山本昌、チェンも控えている。しかも、すべての投手が1軍に食らいつこうと必死で結果を出している。投手を中心とした「守り勝つ野球」をモットーにする落合監督にとって投手陣の好調は何よりも心強いはずだ。

 2月1日のキャンプ初日、落合監督は自軍の投手陣をこう評した。「NO・1だった時もあったが、今は決してNO・1ではない」-。だが、今年の投手陣はオープン戦ながら明らかに12球団NO・1の実力を見せている。質量ともに抜群の戦力を誇る「投手王国」中日。2年連続日本一も視野に入ってきた。【鈴木忠平】