ソフトバンク甲藤啓介投手(24)が、「開幕第6の男」に急浮上した。17日、福岡ヤフードームで行われた先発陣だけによる練習に、中継ぎ要員としてオープン戦にフル帯同した甲藤も参加。馬原の離脱で、先発から抑えに配置転換されたガトームソンの代役として、開幕先発ローテーション入りの大役を任されることになりそうだ。19日の教育リーグ広島戦(由宇)に先発予定の3年目右腕。結果を残し、プロ初先発を確実にする。

 巡ってきたチャンスを逃すわけにはいかない。この日、先発陣だけの練習に参加した甲藤は、キャッチボール、ダッシュなど約2時間、みっちりと体を動かし、汗を流した。「開幕ローテ入り?

 まだ何も言われてないけど、客観的に見て今年はけが人も多く、これ以上ないチャンスだと思う。とにかくまずはあさって(19日)しっかり投げることしか考えてません」。プロ3年目を迎えた男は、無欲の〝勝利〟を誓った。

 馬原の離脱、ガトームソンのストッパー転向により、先発陣は当初、和田が戦列復帰するまで中5日で回すことが予想された。だが、王監督がこの日、開幕直後の中5日ローテに関して「中5日は考えてない。最初は特にね。肩の張りも違うし、中6日とか7日もある」と完全否定。杉本投手コーチも、馬原の離脱後に「先発は6人で回す。4月になれば和田も帰ってくるし、パウエルも投げられるようになってるだろ。それまではいるやつで何とかね」と先発6人での開幕ダッシュ構想を描いていた。

 そこで白羽の矢を向けられたのが、2月の宮崎キャンプから1軍に帯同する甲藤だ。宮崎キャンプでは、A組(1軍)で4番目に多い1214球のブルペン投球を行い、首脳陣に猛アピール。オープン戦でも2軍落ちすることなく、4試合に登板して防御率2・79の好成績を残した。オープン戦登板は12日の横浜戦(平塚)が最後となったが、それは19日の教育リーグ広島戦をにらんでのもの。13日以降はブルペン投球を繰り返し、調整を続けてきた。

 予定では26日のロッテ3戦目(福岡ヤフードーム)に先発予定。25日には、近大の1学年後輩でもある大隣が先発する可能性が高く、「近大リレー」が見られそうだ。「そうなるように、自分は頑張るだけです。チャンスがきたら、しがみついてでも離しませんよ」。プロでの登板はわずか1度。経験不足は否めないが、誰よりも熱い思いをこの男は抱いている。【石田泰隆】