<ロッテ3-6日本ハム>◇30日◇千葉マリン

 ダルビッシュが苦しみながら鬼門を突破した。日本ハム・ダルビッシュ有投手(21)が、千葉マリンでの7度目のロッテ戦で初めて勝った。被安打2ケタも、2本以上の本塁打を許すのも2年ぶりだったが、要所を抑え、パ・リーグの本拠地を完全制覇した。前日29日の試合前の練習で先発予定の武田勝が左手親指を骨折し、志願の繰り上げ登板で期待に応えてリーグトップの5勝目を挙げた。

 嫌いと公言するカメラのストロボにも笑顔だった。ダルビッシュは光の洪水を浴びながら帰りのバスに移動した。10安打3失点は今季ワースト。だが「だいぶ打たれましたけど、球は悪くはなかった。打たれている原因は分かっているので」と勝利を素直に喜んだ。

 変化球の制球に苦しんだ。試合開始時に風速5メートルの千葉マリンで「カーブの曲がりが早かった」と鶴岡。2回は橋本に、カウントを稼ぎにいった146キロ直球を狙い打たれ1発を浴びた。

 今季初めて初回に3点の援護をもらい、厚沢投手コーチは「いつもと違うパターンで、0-0だと違う投球だったと思う」とメンタル面を指摘した。それでも5回の左翼工藤の本塁好返球などに助けられながら、しっかり7回3失点。並の投手なら御の字だが、ダルビッシュだからこそ打たれた方が目立っていた。

 6回までに10本。2年ぶりの2ケタ被安打だった。「高校の時センバツであるんじゃないですか」と、ダルビッシュの記憶にないほどの珍記録。ルーキーイヤーの05年8月6日西武戦の自己ワースト被安打11には並ばなかったが、プロ入り3度目の屈辱。1試合2被弾も2年ぶりだった。

 本来は5月1日に先発予定だったが、左腕武田勝の骨折離脱で急きょ繰り上がった。「昨日(29日に中4日で)行ってもいいですよと言ったが、先にスウィーニーが行くと言ったので」。2回連続の中5日登板に急きょ変更。「その影響はある」(厚沢投手コーチ)が「勝さんが一番悔しいと思う。投手陣がやることをやれば少しは悔しさが晴れるので、気合を入れていった」と言い訳は一切しなかった。

 「鬼門とかそんなふうに考えてはいない」と話したが、千葉マリンでは過去6試合0勝3敗、防御率6・15。7試合連続で被弾も、パ・リーグ本拠地6カ所のうち唯一の未勝利球場でやっと白星を手に入れた。

 リーグトップ5勝目で3・4月度の月間MVPに大きくアピール。「防御率でどうなるか分からないけど、(楽天岩隈より)僕の方が1-0とか、いい試合をしていると思うんですけど」とニヤリ。2ケタ被安打の過去2回は敗戦投手。「勝てているというのが今の成長しているところじゃないですか」。負けないダルビッシュがいる。【村上秀明】