<巨人3-4広島>◇30日◇東京ドーム

 広島赤松真人外野手(25)がプロ野球史上初の快挙を達成した。巨人戦の初回、前日4月29日に続いて先頭打者アーチを放った。これが通算2号で、プロ入り1号と2号を2試合連続の先頭打者弾で飾ったケースは過去にない。4年目の赤松は今季、阪神から移籍。俊足と守備を買われ先発機会を勝ち取っていたが、打っても非凡な能力を示した。切り込み隊長の1発が効いて広島は接戦を制した。

 午後6時1分。同じ2球目だった。24時間前のVTRを見るようなアーチが左翼席に描かれた。赤く染まったスタンドに着弾すると全速力でベースを回っていた赤松は「うそ」という顔をした。本人が驚くのも無理はない。プロ野球史上に名を残す1発だった。

 赤松

 初めて?

 マジですか…。走りながら「まぐれもあるんじゃないか」と思っていた。2試合続けてなんて自分でもびっくりしているし、うれしいです。昨日と同じく思い切りバットを振っていきました。

 熱戦を制したあとだけに、平静を装いながらも顔は紅潮していた。プロ1号、2号を2試合連続先頭打者アーチで飾った初めての男になった。

 ウエスタンリーグでは昨年まで在籍した阪神での3年間で12本塁打していたが、1軍では前日が1本目。2試合連続の先頭アーチは広島では97年の野村謙二郎以来だ。巨人高橋由ら長打力も期待される1番打者でなければ不可能と思われた記録だ。

 細身だが思い切りがよく、ブラウン監督も「パンチ力がある」と言う。ただ、その秘めたパワーが仇(あだ)になることも。指揮官は「彼はアマ時代からたびたび本塁打を打ってきたのだろう。だから勘違いしてしまうことがある」と足を生かすために低い打球を打つようたしなめてきた。

 最近は内田統括打撃コーチの指導で上から強くたたく練習を繰り返していた。「僕は出塁するのが仕事。本塁打はあくまで結果です」と謙虚に振り返った。俊足を買われ、1番を務める試合が増えた。「明日も赤松が1番だ」とブラウン監督は大喜び。阪神では2軍生活が長かった。FA移籍した新井の人的補償で加入したが、この日サヨナラ本塁打を放った新井と同数の2本塁打。25歳が意外な形で満開のときを迎えた。【柏原誠】