<西武5-4ソフトバンク>◇1日◇西武ドーム

 ゴールライン目前の4連打でソフトバンクが地面に突っ伏した。1点リードの9回2死走者なし。手のひらにあったはずの白星はホールトンが4連打2失点を喫し、消えた。今季2度目のサヨナラ負け。球場の通路で言葉を探す王監督の目が泳いだ。「2アウトまでいったからな。一番抑えてほしかったところで…」。1度は救援失敗の助っ人に目を向けたが、話題は十分なリードを生めない打線に変わった。「チャンスはあったのに取れなかった。最少点しか取れなかったもんな」。

 初回に先制2ランを放った小久保が「その後が散々だった」と猛省するのも当然だった。3回1死二、三塁で松中、小久保が連続三振。3-2で迎えた6回は松中が右前打で出塁も、小久保が三振ゲッツーに倒れた。同点で迎えた8回も無死一、二塁から松中が三振、小久保が併殺打。力を発揮すべきMK砲が4三振では苦しかった。

 9回に代打本間の適時三塁打で1点を勝ち越したが、続く森本はスクイズ失敗。絶対的な守護神が確立できていない中、1点リードでは勝利の高い確率は望めなかった。王監督も「もう1点取っておけば違ったんだけど」と嘆いた。本間の安打が実に18イニングぶりのタイムリー。中押し、ダメ押しを奪えない現実が、悪夢の伏流となっていた。

 5カード連続で勝ち越せず、借金は4に逆戻りした。首位西武とのゲーム差は今季最大の5・5。5月に入って首位と5・5差以上離れるのは王ホークスが初優勝する以前の97年以来、11年ぶりのこと。試合後、緊急ミーティングは開かれず、選手は重い足取りで移動バスに乗り込んだ。愛車のハンドルを重そうに握った王監督は、都内の自宅へ無念の“敗走”となった。【押谷謙爾】