<阪神0ー2ヤクルト>◇1日◇甲子園

 重量感のあるストレートは健在だった。今季初登板初先発のボーグルソンは初回から速球系で押した。先頭青木を一邪飛に仕留めると、内角球で川島慶のバットをへし折る。遊ゴロに料理すると、田中浩のボテボテのゴロを、みずから素手で捕って、一塁に送球。自慢の剛速球をフルに生かしきって、完ぺきに滑り出した。

 「最初の1、2回は真っすぐ系で行ったよ。少しずつ自分の変化球も切れてきたし、気持ちも乗ってきたから(中盤以降は)変化球も投げていった」

 2回には3四球を与え、2死満塁のピンチを招くが館山を外角速球で空振り三振に封じた。3回以降はチェンジアップ、カーブなども多用。5回まで無安打に抑えた。甲子園に漂う「もしかして…」の期待感が崩れたのは6回。先頭青木に四球を与え、川島慶に投じた初球速球は高めへ。この日許した初安打を、左翼線最深部までライナーで運ばれ、あっさり先制点を許してしまった。さらに犠打、犠飛で追加点とわずか1安打で2点を失った。ボーグルソンにとっては不運。この日ばかりは、あまりに重い2点だった。

 打線の援護なく、黒星を喫した。しかし、岡田監督は「ボール自体、力はあった。こういうアクシデント(福原離脱)でチャンスが回ってきて、まずまずの投球をしてくれた」と合格点を与えた。24日の中日戦で福原が送りバントを試みた際に右手人さし指を骨折。その枠を2軍調整中の上園、金村暁と争ったが、ライバル2人は2軍戦で不調。巡ってきたチャンスでベストを尽くした。

 チームは3日の中日戦(ナゴヤドーム)から今季初の9連戦に臨む。狂いの生じた先発ローテーションを『修復』する内容だった。ボーグルソンは言う。「自分の投球はOKだった。次のテーマ?

 WIN(勝つこと)!」。昨季7勝を挙げた助っ人の力強い投球が、この日の数少ない収穫だった。【酒井俊作】