<日本ハム5-1楽天>◇2日◇札幌ドーム

 ヤングマンの西城秀樹ではなく、主役は日本ハムのバットマンだ。観衆がヒデキの美声でY・M・C・Aダンスで手ぶりを合わせたように、新中軸も同じような快音3連発だ。5回2死二塁からだった。田中が右中間へ三塁打、稲葉が二塁打、スレッジも左翼フェンス直撃の二塁打。3連続適時打で、難攻不落の岩隈を長打攻勢でKOした。3人で一番のヤングマン、田中は「一喜一憂せずにやっている」と淡々と話した。

 その攻撃終了直後に、西城が登場。今にもグラウンドへ飛び出そうとするヒデキがじりじりする長い攻撃。白いジャケットの下に羽織ったシャツのボタンを3つも開けていただけに、体が冷えてしまうのではと周囲が心配してしまうほどの猛攻だった。その直前までスタンドのファンはバンザイの嵐、まさに「Y」の連発状態。ダンスの予行演習には、もってこいだった。

 初回には先制打。ヤングではまねできない、いぶし銀の働きの稲葉からの快音が、4連勝へのお囃子(はやし)になった。「勝っている時はお祭り騒ぎ」。4番に座ったここ3戦で10打数8安打、10打点。若手中心のチームカラーを最大限に引き出す立役者になった。早いカウントからの積極的な攻撃で、岩隈を今季ワースト失点と攻略。初回、5回とチャンスは少なかったが、間隙(かんげき)を突き、カ・ン・ゲ・キを呼び込んだ。前カードで3連敗した“傷だらけのオーラ”は、もうなかった。【高山通史】