<ウエスタン・リーグ:サーパス10-2阪神>◇3日◇北神戸

 左ひざの軟骨移植手術から再起を期すオリックス清原和博内野手(40)が、阪神戦で603日ぶりに実戦復帰した。「5番DH」で出場。1打席目の二ゴロの間に1打点を挙げ、2打席目は中前適時打を放つなど四球を含む2打数1安打2打点。二塁から三塁へのタッチアップも決めた。

 昨年の手術後に見せた松葉づえ姿を思えば、奇跡の復活だった。神戸の山奥の球場に押し寄せた超満員の観衆から「清原コール」が起こった。2回無死一、三塁の2打席目。アカペラで「とんぼ」を歌うファンにも背中を押され、伊代野の内角低め速球を中前へはじき返した。次打者の四球で二塁に進むと、右邪飛で三塁へ激走した。

 「4週間寝たきりで4カ月が松葉づえ生活。自力歩行まで5カ月かかったことを思えば、本当によくここまでこれた」。痛み止めの薬は手放せない状態だ。しかも左ひざには約1キロもあるプラスチック製の特製サポーターを装着する。その影響で足がむくんで、足首が動きにくくなる弊害もある。今なお続く激しい戦いがある。

 だからこそ浮かれず、1軍復帰についても日時を定めなかった。「そんなレベルでないし時間がかかる。まだリハビリの一環。走りだす時、また壊れるんじゃないかと身震いするような恐怖感があった。満塁ホームランより、いろんな体勢で走りだす時に痛みが少ない方が進歩です」と話した。

 実戦感覚を取り戻すため今後も2軍に帯同。4日以降の出場は状態を見ながら決めていく。「桑田が燃え尽きたといってすがすがしい表情をしてたように僕も…」。清原のゴールは、まだまだ先にある。【松井清員】