<日本ハム12-5楽天>◇3日◇札幌ドーム

 171センチの「打ち出の小づち」が、今季最多の貯金5を運んできた。日本ハム工藤がプロ入り初の4安打を放ち、今季初の猛打賞。3打点の大暴れで「極貧打線」に今季最多の12得点、15安打での大勝を呼び込んだ。今季2度目の5連勝のお立ち台を、もちろん占拠。恐怖の2番は「苦しい時もあれば、いい時もあると…。待っていたら、きました!」と声を張り上げた。

 豪快な一打で、流れを変えた。3回に3点差を追いつき、同点で迎えた4回1死一、三塁から右中間を破る三塁打。今季初の適時打で勝ち越し、その後の猛攻の呼び水にもなった。三塁ベース上では数秒間、左腕を突き上げるほどアドレナリンを爆発させた。「ついつい出ちゃいました」。三塁側ベンチの選手たちも総立ちのド派手ポーズ。昨季中盤以降の快進撃を支えた1人が、ようやく表舞台に帰ってきた。

 ダルビッシュと同期の04年ドラフト最下位、9巡目指名。オフの自主トレは故郷青森の施設なども活用しながら、ほぼ単独で行う。理由は「周りに流されるのが嫌だから」。個性を磨き、チームにフィットするプレースタイルを完成させた。この日も新打線成否の生命線となる2番を4試合連続で任され、攻守に活躍。「ここへきて2番として固定できている。いい傾向にある」と梨田監督の信頼もつかんだ。大味な一戦を締める、スパイスになった。