<中日4-10阪神>◇5日◇ナゴヤドーム

 2人の娘を持つパパに見せ場が巡ってきた。大量リードの9回表2死走者なし。打席の阪神矢野には本塁打でサイクル安打達成がかかっていた。簡単に追い込まれ、4球目の変化球をフルスイングしたが三振。偉業はならなかったが、それでも十分に格好よかった。

 「こどもの日だし勝ってよかった。ナゴヤドームは鬼門と呼ばれていたけどいいゲームができた。(6日からの)巨人戦にもいい流れを持っていきたいね」

 少年少女ファンでも“鬼門”の意味は知っていよう。これまで散々苦しめられたナゴヤドームで、うっぷんを晴らす波状攻撃を決めた。大量7得点の1回に左翼フェンスにぶつける三塁打で5、6点目をたたき出した。さらに価値があったのが、3回のセンター前安打だ。葛城、鳥谷の連打で二、三塁のチャンスに初球打ちがはまった。7点差をすぐに5点差に詰め寄られた「まさか」のムードを断ち切る得点となった。

 「あのタイムリーはよかった。(1回裏に)2点を取られてどうなるか、というところだからね。前の2人が1回と同じようにいい攻めでチャンスを作ってくれたから」

 今年で40歳になるベテランは、流れを読むのも勢いに乗るのもたけている。岡田監督も「すぐに2点を返されていたから、1点でいいんよな、先に取れたのが大きい」と補完した。

 昨年は新設された「ベストファーザー賞イン関西」に選ばれた。「何につけても家族が最優先。子供が大きくなったときに自慢できるかなと思う」と受賞を喜んでいた。かつては自家用車のナンバーを「1188(いいパパ)」とするほど、お父さんであることを誇りにする。バットで大活躍の日にも「杉山は必死でやってくれた。能見もピシッと抑えてくれた」と投手陣をねぎらった。ナイスダディー!

 【町田達彦】