<西武3-1日本ハム>◇6日◇西武ドーム

 西武が日本ハムとの首位決戦にサヨナラ勝ちし、貯金を今季最多の10にした。先発の石井一久投手(34)が9回1失点の力投をすれば、ドジャース時代の同僚ヒラム・ボカチカ外野手(32)が7号サヨナラ2ランで決めた。石井一は移籍初完投でハーラートップタイの5勝目。チームは3連勝で、4カード連続勝ち越し、2位日本ハムとは4ゲーム差だ。渡辺西武は、なんでこんなに強いのか-。

 また出た。本塁打が飛び交う「西武劇場」。この日の幕切れはボカチカが自分の“ポカ”を取り返した。同点の9回、2死一塁。カウント1-3から、宮西の136キロ外角直球に思いきり踏み込んでフルスイング。手応え十分の打球は、センターバックスクリーンに一直線だ。

 痛恨のミスも吹き飛ばした。4回の中堅守備でダイビングキャッチに失敗し、単打を三塁打にして失点した。「自分のミスで点をとられたので、イシイさんが勝てて良かった」と言った。投の主役は石井一だ。「7回までが完投」が口癖だが、珍しく9回まで続投。「いつも打線に助けられているので、今日は僕が頑張る番」と4安打1失点に抑え、トップタイの5勝目を挙げた。

 ドジャース時代にともにプレーした2人が、一緒にお立ち台に上がった。本拠地で負けなしの5勝の石井一が「グラウンドキーパーがしっかりやってくれるので投げやすいです」と笑いを誘えば、ボカチカは「オナカ、スイタヨ」と覚えたての日本語で盛り上げる。ゴールデンウイーク最後の休日に駆けつけたファンは満腹感でいっぱいだった。

 前日の試合で6点差をはね返したかと思えば、今季4度目のサヨナラ勝ち。片岡が「神懸かってる」と首をひねれば、相馬バッテリーコーチは「どうなってんだ」。できすぎたドラマの連続に、チーム内ですら信じられないといった表情だ。

 昨年は26年ぶりBクラスとなる5位に終わった。今季、開幕前は誰も上位に予想しなかった。だが、生まれ変わったような快進撃で、ついに貯金は今季最多10、2位日本ハムを4ゲーム差に突き放した。渡辺監督は「今は競ったところでも打線にいけるという雰囲気がある」と、試合ごとに自信を深めている。【柴田猛夫】