<オリックス3-1ロッテ>◇6日◇京セラドーム大阪

 打球が切れずにスタンドに届いたのを見届けると、引っ込めた右手を再び天に突き出した。5日の下山の3ランに続くオリックスの逆転弾は、浜中のバットから飛び出した。「入ると思ったら急に切れていったので祈るような気持ちだった」と言った。

 1点を追う4回2死一塁、ロッテ成瀬の内角直球を引っ張った。打球はレフトポール際をかすめ、左翼席の最上段に飛び込んだ。「1打席目はインにこなかったので、この辺でいつかくるかと思ってね。成瀬の真っすぐは1発で仕留めないと。最高の形で結果が出てよかった」。ラロッカが戦列を離れる緊急事態の中、同じ29歳の山本に3勝目を届ける大きな1発で、チームに連勝を呼び込んだ。

 2回にも成瀬のグラブをはじくピッチャー強襲内野安打を放ち、これでオリックス移籍後最多となる6試合連続安打。今季の本塁打は4本とも山本が登板した試合で飛び出しており、山本も「どこかで打つと思っていた。運命を感じずにはいられません」と目を丸くした。

 阪神時代に浜中の後ろを打っていた北川が4月30日に戦列に復帰。ベンチで「初心に戻って楽しくやろう。前はおれがお前のケツふいてたんやから、今度はお前がおれのケツふいてや」と声を掛けられ、恩返しの機会を待っていた。チームが苦手意識を持つ成瀬が相手でも関係なかった。三振で倒れた北川の後でしっかりと責任を果たした。

 この日の勝利で借金は再び1ケタの9に戻った。5月は3勝3敗と五分で、チームの雰囲気も上向きだ。今季初の3連勝も目の前だ。【福岡吉央】