<西武3-1日本ハム>◇6日◇西武ドーム

 エースのねぎらいの言葉が、会心デビューの証しだった。役目を終えたダースを、尊敬する人が三塁側ベンチ裏で待っていた。「ナイスピッチングって言われました」。7日先発するダルビッシュが、出迎えてくれた。似た容姿とスタイルからファンに「ダルビッシュさん」と声を掛けられることもしばしば。そんな親近感はあっても遠い、偉大な先輩に認められた。

 5回を4安打1失点で自責点は0。威風堂々の1軍デビューだった。直球の最速は145キロ。粗削りながら長いリーチを生かしたパワフルなフォームで、両リーグ最多52本塁打の西武打線を力でねじ伏せた。中島、ブラゼル、G・G・佐藤の中軸は7打数無安打に抑えた。初回1死二塁では中島から見逃せばボールの142キロの高めの直球を空振りさせ、初三振も奪った。

 昨季は右ひじの故障などからリハビリに専念し、1、2軍とも登板なし。日本代表招集でダルビッシュが抜けることが濃厚な8月の北京五輪期間中の秘密兵器が、ベールを脱いだ。「マウンドを降りて達成感はあった。自己採点は80点、90点くらい」。インド人の父と日本人の母を持つ、191センチの長身。境遇もそっくりな2年目右腕が、野球でも本当に間違われるかもしれない、ポスト・ダルビッシュの1番手に名乗りを上げた。