<ソフトバンク4-11西武>◇14日◇福岡ヤフードーム

 首位を突っ走る西武打線がまたも爆発した。広い福岡ヤフードームで、G・G・佐藤外野手(29)が10号、11号の2発、“恐怖の9番”ヒラム・ボカチカ外野手(32)が8号、9号の2発と豪快に打ち込み、12安打11得点で大勝した。3連戦が始まる前、宮崎市内で世界の王監督に、釜揚げうどんをごちそうになった御礼はフルスイングの4発返し。貯金は今季最多の13。ひどい、いや、すごい。

 「世界の王」に感動したG・G・佐藤が、ありったけの気持ちをバットに込めた。4回、先頭打者でガトームソンの直球をはじき返し、完ぺきな放物線を描いて左翼席中段に特大ソロ。続く5回1死一、二塁では代わったばかりの柳瀬から左中間席に2打席連発の3ラン。6点差をつけて試合を決めた。3安打4打点、プロ初の1試合2発に「夢じゃないと信じたいです」と余韻に浸りこんだ。

 ソフトバンクに連勝を6で止められた13日の宮崎から、空路で博多へ移動直後のゲームでリベンジした。宮崎では、偶然の出来事に遭遇した。宿舎ホテルに近い老舗の釜揚げうどんの店で、G・G・佐藤は細川、デーブ大久保コーチら球団関係者6~7人とテーブル席についた。常連といった風情でカウンターに座っていたのは、なんと王監督だった。巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏らも行きつけの有名店で、雲の上の存在とバッタリ出くわした。

 食事を済ませた王監督が店を出た後、店員がやってきて「みなさんの分の勘定は、すべて監督が払われました」。つけ麺で食べる名物うどんは並盛り1杯600円、大盛りだと700円。うどんをすすっていた全員が、大あわてであいさつしようと店を飛び出たが、王監督はすでに車で去った後。感激のあまり、戻った店内では王監督の話題で持ちきりに。「一生の思い出。自慢になる」と少年のようにはしゃぎ、誰よりも目を輝かせていたのがG・G・佐藤だった。感謝の思いは、フルスイングでお返しした。10号、11号連発で、キングの同僚ブラゼルに1本差に猛追した。

 “恐怖の9番”ボカチカも続いた。G・G・佐藤に負けじと8号、9号と2ラン2発を左翼にたたき込んだ。9番の打順に「前の8人の打者がいるから、どういうボールがくるかを見極めることができる。自分でもビックリするくらい調子がいいんだ」と喜んだ。ボカチカが本塁打を打った試合は、7戦全勝。負けない男が、不敗神話を伸ばした。

 8回まで毎回の12安打で11得点。休む間も与えずに攻め続けた渡辺監督は「G・Gはいい場面で、勢いのつくホームランだった。9番ボカチカは、他のチームにはない、うちの得点パターンだね」と自慢の攻撃力に胸を張った。1試合4発は今季3度目だが、ロードでは初めて。貯金は今季最多タイの13。ゴールデンウイークで加速した西武特急の勢いは、敵地でも止まる気配はない。【柴田猛夫】