<楽天6-1中日>◇20日◇Kスタ宮城

 緻密(ちみつ)な野球が持ち味の中日が、野村楽天にスキを突かれた。1-1の8回無死一塁から代走塩川に二盗を決められ、1死後さらに三盗を許した。立て直す間もなくこの回5失点し、完敗。先発復帰した小笠原は7回0/3を7安打2失点と好投しながら3敗目を喫した。チームは4年連続で交流戦黒星スタートとなった。

 落合監督は苦笑いを浮かべていた。「これで4年連続初っぱな負けか?

 去年はどこだった?

 ロッテか。その前は?

 覚えてないんだよ」。野村楽天にスキをつかれての完敗。交流戦4年連続黒星スタートという不名誉な“記録”を更新してしまった。

 落合中日らしからぬ油断が勝敗を分けた。1-1で迎えた8回無死一塁、打席には4番山崎武。ここでベンチは好投の先発小笠原に代えて平井をマウンドへ送った。だが、代走塩川に二盗を許すと、1死後、5番リックの初球にも三盗を許した。前進守備を敷かざるを得なくなった直後、6番フェルナンデスの打球はワンバウンドで三塁手の頭上を越えていった。これが決勝タイムリー。通常の守備位置なら併殺の可能性もあった。2つの「許盗」が決勝点を生んでしまった。

 「足の速いランナーなんでね…。やられたら一緒です」。平井は悔しそうに言葉を絞り出した。田村捕手コーチは「盗塁?

 ピッチャーに聞いてくれ。モーションを盗まれたら刺せないよ」と指摘。今季、谷繁の盗塁阻止率は1割6分と低いが、それだけが原因ではないという。事実、ノーサインで走った塩川は「あんまりけん制をしてこなかった」と振り返っている。打者に集中しなければならない場面ではあっても、あまりにも無警戒だった。

 「やることはいっぱいある」。谷繁は厳しい表情で帰りのバスに乗り込んだ。首位阪神が敗れたためゲーム差は3・5のまま。だが、スキをつかれ、守りを崩されての敗戦にはいつもより重苦しいムードが漂っていた。【鈴木忠平】