<日本ハム11-1中日>◇24日◇札幌ドーム

 日本ハム打線が「新記録」の猛爆発で、昨季日本一を譲ったオレ竜を連破した。今季最多、交流戦チーム最多の20安打を放ち11-1で大勝。5連勝で貯金を今季最多の「7」へと伸ばした。初回に高橋の4号2ランなどで3点を奪うと、中押し、ダメ押しと効果的に得点した。昨季制覇した交流戦を破竹の4連勝でスタートを切った。先発スウィーニーも7回1失点と好投し4勝目。投打がかみ合い、快進撃の予感が再び漂ってきた。

 交流戦レコード樹立への最大の号砲は、豪快な空中ショーだった。初回2死二塁。稲葉の中前適時打で先制した直後だ。フルスイングした高橋が、祈る。中日川井のほぼ真ん中のカーブを強振した。左翼ポールへと放物線を描く。「切れないでくれ、という祈りがボールに通じてくれました」。スタンド中段へと到達する4号2ラン。初回の速攻で奪った3点が、お祭り騒ぎへの伏線になった。

 用意周到なプランが、大勝でのスパイスになった。先発メンバーの2番は、前夜に危険球退場した投手の多田野。偵察要員を初めて使った。先発投手が予想しづらいとされる中日対策。川井が最有力だったが、念には念を入れて、吉見と2人の野手ミーティングを実施した。川井を4回で降板させると、中日の中継ぎ陣も攻略。梨田監督が「こんな勝ち方は初めてじゃないか」と驚く、交流戦チーム新の20安打の固め打ちだった。

 首位をひた走る1発攻勢が売りの西武を、コツコツの「極貧打線」で追いかけている。特長はチームワーク。ミーティング後のお楽しみが、強い結束を保つ秘訣(ひけつ)だ。昨季までと同様、札幌ドームの選手ロッカー室には卓球台を設置。今季はさらにパワーアップした森本らが自費で購入したダーツにミニ・ビリヤード台に将棋にオセロ…。おもちゃ箱のような空間で、みんなで楽しみ、メリハリをつける。その延長線上の勝負本番で、力を発揮する大切なルーティンだ。

 職人かたぎのオレ竜軍団とは対照的なチームカラーで、チーム打率リーグ最下位ながら、2位をキープ。交流戦序盤の難所、昨季の日本シリーズで敗れた中日からリベンジの連勝をもぎ取った。本拠地での交流戦4連勝スタートで、25日から敵地での巨人戦。梨田監督が「いいスタートは切れたけれど、あんまり浮かれている場合じゃない」と手綱を締めるほど勢い十分。札幌のヒットパレードは、交流戦連覇への進撃マーチになった。【高山通史】