<阪神2-1西武>◇26日◇甲子園

 やはり決めたのは4番だ!

 阪神金本知憲外野手(40)の3年ぶりとなるサヨナラ打で西武に連勝し、貯金を今季最多の「17」とした。チームで40代選手のサヨナラ打は、1975年(昭50)のアルトマン以来、33年ぶりだ。

 満面の笑みで、アニキがチームメートと追いかけっこ。猛ダッシュで逃げ回ったが、すぐにつかまった。「すみません、ヤキモキさせました。3番の新井大選手が訳の分からないバッティングをしたんで、僕が何とか決めようと思っていました」と球場を沸かせた。

 11回裏1死一、二塁から新井がバットを折りながら、二塁手の右に転がし、2人の走者を進めた。2死二、三塁。一塁は空いていた。だが、ここで西武、そして左腕グラマンが選んだのは主砲とのガチンコ対決だった。「意外と落ち着いていた。合わすというか、ミート中心で打ちました」。カウント1-1から真ん中に入るスライダーを鋭く振り抜く。弾丸ライナーが右翼の右に弾み、サヨナラ打で死闘に決着をつけた。

 試合前、ポツリとつぶやいた。「2死二、三塁で打席に立つ、イヤな気持ちが分かるか?」。本音だった。自分を警戒する相手なら、勝負をしてもらえないかもしれない。主砲として余計な心配を抱えながら、この日も左打席に立った。そこで最高の結果をもたらすから、人はこの男に尊敬のまなざしを送る。

 これで13試合連続安打。次は28日のロッテ戦。「あさってからのロッテ戦は平日ですけど、まだチケットが余っているそうなので超満員にしてください」。お立ち台で声を張り上げた男だから、また打ってくれる予感がする。【佐井陽介】