ソフトバンク王貞治監督(68)が16日、8月にエース斉藤を精神的支柱として“1軍登録”する考えを明かした。17日に右肩リハビリのため再渡米する斉藤について「8月に戻ってくるみたい。今年ではなく来年からやってくれたらいい」と、あらためて治療優先を訴えると同時に、帰国後の重要な役割を期待した。

 王監督

 グラウンドにいなくても彼の存在は大きい。次に帰ってくる時にどれだけ動かせるか分からないけど、ベンチに入ることはできなくても、一緒に走ったりね。

 マウンドに立てなくてもナインから信頼を寄せられ、精神的な支えとなっている斉藤を「戦力」として認めた。当然、リハビリの進ちょく度によるが、優勝争いのラストスパートの時期に「特別枠」を用意して、チームのポテンシャルを引き出させる役回りを求める。

 安直な思い付きではない。ダイエー時代の99年9月。王監督は西武松坂から左ほおに死球を受け、骨折した秋山(現チーフコーチ)を「チームの柱だし、プレーする、しないは別にして必要な選手」として、直後の遠征に帯同させた。秋山は試合復帰するまで若手投手がKOされるとロッカー室に足を運び、声をかけるなどプレー以外で支えた。チームはそのまま王ホークス初の日本一へ突っ走った。今回も5年ぶりV奪回に、斉藤が不可欠というわけだ。

 斉藤が今回一時帰国していた間、ホームでは7勝1敗。5月31日に完投勝利を挙げた杉内は「みっともないところは見せられんやった」と話しており、ネット裏から見守ったエースの影響は小さくなかった。全体練習がオフとなったこの日、斉藤は出国前日にもかかわらず福岡ヤフードームで体を動かした。早ければペナントレース勝負の8月にも「戦力」として戻ってくる。【押谷謙爾】