<中日6-1ロッテ>◇21日◇ナゴヤドーム

 出た、今季最速150キロ!

 中日川上憲伸投手(33)がロッテ打線を5回2/3を無失点に抑え、今季5勝目を挙げるとともに、交流戦単独トップの勝ち星を「14」に伸ばした。持ち球カットボールを見せ球に、威力抜群のストレートで押した。チームの今季2度目の4連勝を引き寄せ、交流戦5割フィニッシュに望みをつなぐ気迫の投球。32歳最後の夜に、最終候補入りしている北京五輪日本代表での活躍も予感させた。

 中日川上の剛球がうなりをあげた。4回、先頭のサブローへの6球目。思い切り腕を振って投げ込んだ直球は今季初めて150キロを計測。空振り三振を奪うと、グラブをポーンとたたいた。「今季最速?

 ふだんは球が遅いピッチャーですからね。飛ばした?

 いつも通りです」。その後も強気の投球を続け、チームに今季2度目の4連勝を呼び込んだ。

 6月に入り代名詞とも言えるカットボールの投球数を減らし、意識的に「封印」している。今の川上を支えているのは威力が戻ってきた直球と「カットの調子が悪い時に備えて」と春季キャンプでOB杉下氏に指導を仰いだフォークだ。

 5月23日の日本ハム戦からフォームをワインドアップに戻した。この日で5戦目。直球が常時145キロを計測するようになり、真っすぐでグイグイ押せるようになった。前回オリックス戦の翌15日にも「今はカットが良くない。それでもフォークもあるし、8割方ストレートで押していける」と話すほど自信を深めている。

 3回にバント処理をした際に左足をかばうしぐさを見せ、マウンド付近にナインが集まる場面があったが、平然と続投した。「ちょっとカクッときましたね。大丈夫?

 そうですね」と話した。

 この日の勝ち星で単独トップの交流戦通算勝利数は「14」に伸びた。チームが交流戦通算で11勝12敗と苦しんでいるだけに、エースの存在が際立つ。この日勝ったことで、交流戦5割フィニッシュに望みもつないだ。20日に発表された北京五輪最終代表候補にも選ばれており、星野監督に対しても好調ぶりを示す格好のアピール。川上はチームのため、ジャパンのため、さらに調子を上げていく。【上野竜一】