<横浜1-2中日>◇27日◇横浜

 試合を動かすひと振りだった。中日立浪が会心の1号ソロでチームに今季初の6連勝を導いた。0-0の8回、好投の先発川上の代打として打席に立った。横浜先発小林のカウント1-2からの直球を思い切りたたいた。打球は右翼席に飛び込んだ。「うれしい。あれだけ打てなければやっぱりうれしいでしょ。憲伸が頑張っていたので何とか点を取ってやりたかった」。昨年8月28日に初の1号代打満塁本塁打を放った横浜で今年も1号が出た。入団から21年連続のアーチは0-0の均衡を破るV打となった。

 落合監督は、8回無死走者なしで迷うことなく立浪を起用した。「あそこは先頭打者だろ。クリーンアップがいるんだからおぜん立てしないとな。いいじゃねえか。役者がいなくて勝っているんだから」。井端、森野ら故障者続出の中で勝負どころを逃さなかった。

 立浪にとって重い3カ月だった。打席に入った際、バックスクリーンに映った打率は「065」。打撃コーチ兼任となった今季も代打の切り札に変わりはないが、31打数でわずか2安打だった。

 そんな立浪が今季途中から早出のロングティー打撃を日課にした。トスされたボールを外野へ打つ。勢いのない球を飛ばすには力と技術がいる。ぐんぐん伸びていく打球に若手野手は「きれいですねえ」とため息をついた。まだやれる。トンネルの出口が見えた。

 これで阪神と6ゲーム差。「正直、僕にとっては今日が開幕みたいなもの。迷惑かけた分、何とか阪神を追い上げたい」。立浪の復活弾でチームは完全に追撃モードだ。【鈴木忠平】