<巨人6-1ヤクルト>◇3日◇東京ドーム

 不振だった巨人セス・グライシンガー投手(32)がヤクルト戦に8回6安打無失点と好投し、1カ月ぶりの7勝目を挙げた。負ければ2軍落ちの可能性もあったがけっぷちで踏みとどまり、チームに大きな連勝をもたらした。阪神が中日との首位攻防戦に3連勝したことで、2位中日との差は1・5ゲームにまで縮まった。4日からの敵地名古屋での中日3連戦で、今季初の2位浮上を狙う。

 グライシンガーは首を振らなかった。阿部のサインにうなずくとテンポ良く投げ込んだ。3回までは内野の頭を越されなかった。持ち味のゴロを打たせる投球が復活した。今季最長最多の8回124球を投げ無失点。1カ月ぶりの白星をたぐりよせた。「終盤疲れてきても、直球が微妙に変化して、いい方向にいってくれた。これからもこういう投球を続けたい」と充実感に満ちた笑顔を見せた。

 実はがけっぷちの登板だった。6月27日の広島戦(広島市民)でKOされた翌日、尾花投手コーチから、このままでは監督が次回登板に対して首を縦に振らないと伝えられた。原監督は周囲から孤立するグライシンガーを怒っていた。内容が悪いなら、阿部やスコアラーともっと対話することを求めた。フォームの修正とともに、それができないのならば、今回の登板はなかったかも知れなかった。

 グライシンガーは変わった。ソフトバンク戦では投手の杉内に対する時でも阿部のサインに首を振り、広島戦では声をかけに近づいた木村拓に見向きもしなかった。チームメートの心が離れつつあるのに、尾花コーチとの話で気づいた。「危機感を抱いている」と、今回の登板に対しては、阿部ともスコアラーとも対話をした。

 阿部は「オレだって試合に負けたくないから」と今まで散々首を振られたことをのみ込んで、グライシンガーのための組み立てをした。スコアラーからは走者を出した時の癖を指摘してもらった。チェンジアップがばれていた。足の上げ方をゆっくりにするなど工夫して乗り切った。

 投球フォームも「腕を高く上げ角度をつけることを心がけた」と、いい時の形に戻った。すべてがいい方向に動いた。原監督は「非常にらしさが出ていた。持てる力の9割以上発揮してたかな。すべてにおいて精度を上げた。確率良くこういう投球をしてくれればいいね。慎之助とも息が合ってたよ」と助っ人の復調を喜んだ。グライシンガーの前に、今後の道が開けた。【竹内智信】