<阪神3-8巨人>◇10日◇甲子園

 由伸が猛虎にとどめを刺した。3位巨人の高橋由伸外野手(33)が阪神戦の8回、逆方向の左翼スタンドへ11号2ランを放って4点差に引き離し勝負を決めた。初回には中前打で切り込み隊長役を果たし、先制の3点を呼び込んだ。

 高くて美しい、巨人高橋由の放物線だった。8回表1死二塁。「ランナーがいたんで、何とかかえせれば、ヒットがでれば一番いいかな」。3球続いたスライダー。腰をクルリと回し、バットに乗せた。

 ボールは浜風に乗り、バックホーム態勢を敷いていた金本のはるか頭上を越えた。点差が4点に開く、勝利を決定づける11号2ラン。「風があったからねぇ」と控えめだったが、らしい芸当で阪神に一矢報いた。

 腰を回して、広い甲子園の左翼席に放り込んだ。この事実が体調の良さを物語っている。疲労性腰痛でファームで1カ月過ごした。慢性的な持病とうまく付き合う方法はないか。同じくジャイアンツ球場にいた上原の言葉にヒントがあった。「腰回りの筋肉を鍛えることが、腰痛の予防になるんだって。(ヤクルト)宮本さんから教えてもらって、オレもやってるんだよ」。腹筋と背筋を毎日1時間。自宅や練習の合間に続けることにした。

 地味だが継続は着実に力となった。「体重が2キロくらい落ちて。ベルトの穴1個分」腰回りがシャープに。体のキレを生む二重の効果もあった。遠征先などで今も、これからも続ける。

 阪神投手陣を打ち崩しての完勝も、遠い背中を追いかける1勝にすぎない。8日の初戦を落とし、自力Vが消滅した。だから試合後の通路でも、高橋由は「いつもこういう試合ができればいい。(自力V消滅の)事実は変わらないんだから。1戦1戦やるだけだよ」と淡々としていた。原監督も思いは同じ。「主力が打って良かったが、まだ阪神に対し、勝負どうこうとはいえない。勝ったからといって、ゴチャゴチャ言えない。(対阪神戦)5割に戻してから、ということです」。高橋由がコツコツと腰痛を治したように。ひたむきに戦う先に、虎へ再度の挑戦権がある。【宮下敬至】