<中日1-2阪神>◇18日◇ナゴヤドーム

 中日の守護神岩瀬仁紀投手(33)が同点の9回、勝ち越し点を許して痛い敗戦を喫した。北京五輪代表の先発川上が8回10奪三振1失点の好投。森野が6回に先制打を放つなど活躍したが、北京五輪でも抑えに期待される岩瀬が打たれた。これで対阪神戦は5連敗となり、再び自力Vは消滅した。

 最後は代打の切り札・立浪のバットがへし折られた。1点を追う9回2死一、三塁。同点のチャンスをつくったが、阪神藤川の剛球に力ない投ゴロ。また負けた。これで虎に5連敗。ゲーム差は13に開き、自力優勝が再び消えた。北海道で巨人をたたいた勢いがわずか1試合でしぼんだ。

 「見どころは9回だけだったな。お互いに。9回だけ見たらおもしろいゲームだろう。だいぶお疲れですな。皆さん。うちの選手だけじゃないぞ」。

 落合監督の乾いた言葉が会見場に響いた。勝負が決まったのは1-1で迎えた9回だった。守護神・岩瀬をマウンドに送ったが、3安打を浴びて1死満塁。最後は矢野に甘くなったスライダーを左前に運ばれて決勝点を献上した。「投げミスがいつもより多かった。結果は結果だから…」。1イニング4安打を浴びて今季3敗目を喫した岩瀬は責任を背負った。岩瀬と藤川-。結果的に星野ジャパンの抑え候補が明暗を分けたが、勝負の流れはその前に傾いていた。

 阪神下柳に抑えられていた打線は6回に森野のタイムリーで1点を先制したが、なお1死一、二塁のチャンスで主砲ウッズが痛恨の併殺打。その直後の7回に好投の川上が金本に同点弾を浴びた。もう1点が取れず、この1点が守れない。ともに守りの野球を基本とする阪神との戦いでは決定的な差となる。

 「まだ60試合もあるのか…。さあ、そろそろ入れ替えることを考えないと。いないのばっかりだから」。

 北京五輪代表に12球団最多の4人が選ばれた。川上、岩瀬、荒木、森野。ドームの主役たちが8月からそっくりいなくなる。さらに厳しくなる状況で阪神を追いかけなければならない。あと60試合を戦わなければならない。指揮官は早くも五輪期間中の布陣に頭を巡らせ始めた。【鈴木忠平】