<阪神7-1中日>◇25日◇甲子園

 中日のエース川上憲伸投手(33)が関本に満塁弾を浴び、壮絶に散った。首位阪神追撃を胸に秘めたマウンドで、5回7安打6失点と打ち込まれた。チームは昨年9月28日から甲子園での対戦は7連敗。今季対戦成績も3勝11敗1分けとなり、26日敗れれば早くも負け越しが決まる。7月の月刊成績も4試合を残して負け越しが決定。阪神のマジックが44に減る一方で、落合竜の低迷がいよいよ際立ってきた。

 川上が壮絶にKOされた。5回2死満塁、フルカウントから関本への9球目は外角を狙った直球が抜けたように内角高めへ。打球は浜風にも乗ったのか、フラフラと上がって左翼席に着弾した。痛恨の満塁弾。川上は打球を見つめたまま、しばらく動けなかった。

 「特にありません」。5回7安打今季最多タイの6失点で5敗目を喫したエースは広報に短いコメントを残すと、試合途中で球場を去った。阪神に勝てない。これで今季3勝11敗1分。甲子園では昨年9月から7連敗となった。屈辱の敗戦への悔しさか、怒りか…。帰りのバスに乗り込む選手の列に川上の姿がないことが異様だった。

 負けられない試合だった。北京五輪代表に選ばれた川上にとって、この日がチーム離脱前最後の登板。「オリンピック、オリンピックと言うけど、まだそれは考えていません。目の前の試合に集中したい」。開幕間近の北京五輪に話題が集中することに嫌悪感を示しこの1戦に集中していた。

 だが、阪神との勢いの差は明らかだった。初回、先頭の赤星を打ち取った当たりがボテボテの内野安打。1死から鳥谷に右前打を浴びるとこれを右翼森野が三塁へ大暴投。守備のミスで先制点を献上してしまった。さらに関本にタイムリーを浴びて2失点。反発力のない打線は阪神安藤に5回までわずか1安打。孤立無援の中で川上は沈んだ。

 甲子園での3連敗から始まった悪夢の7月はこれで7勝13敗1分。月間の負け越しが決まった。オレ竜にとって昨年4月以来の事態だ。首位とは再び13ゲーム差。2位巨人とも2・5ゲーム差に離れた。幾多の窮地を救ってきたエースでも負の連鎖を止め続けることはできなかった。【鈴木忠平】