<中日3-9横浜>◇28日◇浜松

 中日チェン・ウェイン投手(23)が自己ワーストタイの5回5失点で4敗目を喫した。台湾代表として北京五輪出場が決まっており、この日が離脱前ラスト登板。3回、自らの野選をきっかけに先制を許し、その裏二塁打を放ちながら三塁を欲張りタッチアウトとなるなど、空回りの内容で「置き土産」をつくりそこねた。打線は森野の30歳バースデーソロ、井上の1号ソロなどで反撃したが届かず、横浜三浦に完投勝ちを許した。

 完全に空回りだった。チェンは0-0の3回無死一塁で三浦の投前バントをつかみ、振り向きざまに二塁に送球したが犠打野選となった。無死一、二塁とピンチを広げ「リズムを崩した」。ここから仁志、内川、吉村と3本の適時打を浴びて3失点。さらに5回にも2失点。5回8安打5失点で4敗目を喫した。

 「勝負どころでコースが甘くなってしまった」

 チェンの5失点は、中継ぎで2回を投げた05年4月3日横浜戦以来となるワーストタイ。被安打8は、05年8月4日ヤクルト戦の被安打7を上回る自己最多だ。直球は高めに浮き、スライダーはコースを外れる。試合前まで規定投球回数未満ながら防御率2・17を誇った面影はなかった。

 北京五輪前のラスト登板に、心がはやった。台湾代表として金メダルを狙っている。母国の家族にいつもは見せられない自分の姿を披露するチャンスと胸を躍らせている。大舞台を前に、白星の置き土産を残し気持ちよく8月1日の代表合宿に合流するつもりだった。「五輪に行く前に勝ちたいと思った。今日はバランスもスピードも悪くなかった。でもストライクがとれなくて、うまくいかなかった」。3回の打席では左中間への二塁打を打ったが、三塁を欲張りタッチアウト。攻撃でも空回りして「自分のミスだから、しょうがない」とうなだれた。

 チェンは「北京から帰ってくる時は自分の投球ができるように。次回は取り返したい」と話した。しかし、チェンに加え川上、岩瀬、荒木、森野が離脱する中日は五輪期間中、現状より厳しい状況での戦いを強いられる。【益田一弘】