<オールスター:全パ5-4全セ>◇第1戦◇31日◇京セラドーム大阪

 星野ジャパンのエース、全パの先発日本ハム・ダルビッシュ有投手(21)がオール直球勝負に徹した。27球。今季最速タイとなる153キロをマークしたが、2回に阪神金本知憲外野手(40)に先制ソロを浴びるなど、2回を3安打1失点で奪三振は0。気合が入りすぎたのか?

 降板後には鼻血を出すアクシデントにも見舞われた。

 ベンチ裏で、ダルビッシュがティッシュを鼻に詰めた。熱気か興奮か、血染めのユニホームだった。腹と左肩にうっすらと血がしみていた。「(2回に)金本さんに打たれる前から鼻がむずむずしてきた。頼むから前田さんゲッツーで(早く攻守交代)と思っていた」。鼻血に悩まされた。30日夜からの症状で「ほこりのアレルギーがあるのでそれかな」と苦笑いした。

 アクシデントはあったが、2年連続の球宴第1戦先発マウンドは豪快だった。直球一本で押し、グイグイと自慢の快速球を投げ込んだ。「直球だけ?

 決めてなくて(変化球を)交ぜていこうと思ったけど、まあいいかなと思って」。2回打者7人に全27球。「もうちょっとできるかなと思ったけど、バランスが悪かった」と振り返ったが、17球が150キロ超えの真っ向勝負だった。

 昨年は2回完全の投球だったが、今年は打たれ方も豪快だった。阪神金本に6球目の内角151キロを完ぺきに運ばれた。マウンドで苦笑い。「真っすぐが悪かった。今日の状態ならしゃあないかな」と無念さをにじませた。1回、先頭のヤクルト青木には球宴での初被安打を喫し「(体が)温まらないまま終わっちゃいました」と悔しがった。

 試合前、女房役のオリックス日高とは、直球基本で変化球を投げたい場合に首を振るという打ち合わせができていた。それでも、選択肢は直球だけ。1回の阪神新井の初球に今季最速タイの153キロをマーク。尻上がりによくなるタイプだが「今日はちゃうかった」と悔やんだが、爽快感すら残る直球勝負。生まれ故郷大阪で、家族や友人が見守る中、意地と信念をのぞかせた。

 1日の第2戦後、北京五輪代表合宿(2日開始)に集合する。“血染めの27球”には「思い出には残りますけど(お祭りムードの)こういうところで自分の実力を出すのは無理。緊張感があるところでやらないと」。全日本のエースとして、嫌でも身が引き締まる北京五輪の大舞台が待っている。【村上秀明】