<ロッテ6-10ソフトバンク>◇15日◇千葉マリン

 王監督は、大丈夫だ。体調不良のため14日の試合を欠場して休養したソフトバンク王貞治監督(68)が15日のロッテ戦で復帰した。「昨日はご心配おかけしました」と話した王監督。チームは白星を贈ろうと、ロッテ投手陣に14安打を浴びせ、10得点で逆転勝ち。首位西武との差を5・5ゲームに縮めた。

 ソフトバンク王監督に、これ以上の良薬はない。「まあまあ勝って良かった。今日勝つと負けるじゃ大違いだから」。同点の5回に松中の22号3ランで1度は勝ち越したが、7回に逆転された。「選手たちも昨日の負けの悔しさがあっただろう」と王監督も選手たちの執念を認めた。8回に打者10人で5点を奪う逆転勝利。王監督の復帰戦を白星で飾った。今季6度目の先発全員安打に、選手たちの思いが表れていた。

 14日の昼食後、腹部の違和感と痛みを訴えた。症状が治まらないため、休養を決断。指揮は秋山チーフコーチが監督代行として執り、王監督は都内の病院に移動した。内視鏡で腹部に詰まった食物を取り除く、本格的な治療を受けたもようだ。「前も1度、あったこと。たまたま試合の日に重なってしまった。間が悪かったな」。病院での治療後は都内の自宅で試合をテレビ観戦し、チーム状況の把握にも努めていた。

 午前中には都内の病院で栄養補給の点滴を受け、食事の摂取方法などの栄養指導も受けていた。コーチ会議、選手ミーティングで昨夜の不在をわびると、午後3時25分、選手宿舎で2日ぶりとなるユニホーム姿を披露した。「昨日はご心配をおかけしました。(体調は)大丈夫です」。前日は乗れなかったバスで球場へ移動した。

 試合前は足取りも重く、階段の前では壁に手を添え、慎重に降りるほど疲労感を漂わせた。そんな姿は試合中には見せない。本塁打の松中を出迎えるときには、両手を広げ、おどけるように笑顔を見せた。8回にはガッツポーズも飛び出した。「何が起こるか分からんからね。まあまあ今年は最後までこんなもん」。試合後もゆっくりと歩いて愛車の助手席に乗った。首位西武と5・5ゲーム差。逆転優勝への執念が、王監督の原動力だ。【中村泰三】