<ソフトバンク2-1日本ハム>◇17日◇福岡ヤフードーム

 淡々と27個のアウトを献上した。日本ハムが、たった1日で借金生活に逆戻りした。イニングの先頭打者が1度も出塁できず、奪った得点はボッツのソロの1点だけで、12三振。リードオフマンの森本、4番に抜てき中の小谷野が無安打。打線の要所がブレーキで、つなぎの攻撃は分断された。梨田監督が「考えな、いかん時期にきている」と中軸の組み直しの検討するほど深刻な黒星だった。

 ノープランだった。大隣の直球とスライダーなど変化球、すべての球種、コースに手を出した。選手の個々の能力に頼るような一貫性のない早打ちの連続で、序盤から大隣をリズムに乗せた。平野打撃コーチは「やられるのはいつも一緒だな」と白旗の展開。主砲の稲葉を欠き、選手1人の力では打開できない状況。意思統一された戦術もなく、パワー勝負を挑んでは、結果は見えていた。

 プロ入り2度目の完投と力投した武田勝の好投を生かせず、またも勝率5割を切った。犠飛で許した2点が、重かった。「リリーフが休めたので、明日につながればいい」。5敗目にも収穫を口にした武田勝のおとこ気は、打線に響かなかった。2位ソフトバンクに再び2・5ゲーム差。このカードでのどんでん返しの夢は、はかなく散った。

 ここ5試合で21打数2安打の森本は「今が1年で一番、悪い状態」と責任をかぶった。失意で帰りのバスに乗り込む間際、球団関係者に呼び止められ、団体客との記念撮影に収まるよう、要望された。気丈に応じたが、その笑顔はもちろん、ひきつっていた。どん底にあえぐ、日本ハムの「今」を象徴していた。【高山通史】