<中日5-1ヤクルト>◇17日◇ナゴヤドーム

 中日山本昌投手(43)が6連勝でチーム単独トップの9勝目を挙げ、最年長43歳での2ケタ勝利に王手をかけた。登板間隔中4日の影響も感じさせず、ヤクルト打線を7回5安打1失点。負ければ借金生活に転落するピンチを救った。打線は4回に李のタイムリーで38イニングぶりの得点を挙げると、ウッズ、中村紀がアーチで追撃するなど10試合ぶりに2ケタ安打をマーク。チームの連敗は4で止まり、単独3位の座をキープした。

 驚くべき43歳だ。チームの連敗を止め、借金生活転落の危機を救った山本昌は気持ちよさそうに汗をぬぐった。「先制されたけど我慢していれば援護があると思っていた」。自身6連勝でチーム単独トップの9勝目。史上最年長での2ケタ勝利に王手をかけた。

 今季2度目となる中4日での先発。疲労が残っていてもおかしくないが、まるで影響を感じさせなかった。立ち上がりからストライクを先行させた。3回に福地のタイムリー三塁打で1点を先制されたが、3試合連続完封負けの打線が奮起するまで最少失点で踏ん張った。すると打線が4回に同点、5回には勝ち越した。「中4日だろうが、関係ないよ。若いころよく投げたし。慣れだよ、慣れ!」。7回を5安打1失点。圧巻の114球だった。

 山本昌は今年、新たに2種類の変化球を投げている。1つは右打者の内角へ投げる魔球で、一見スライダーに見えるが最後はシュート気味に逃げていくもの。もう1つはスクリュー系でスクリューより落差の激しい球。独特のフォームも毎年、微妙に変化しているという。40歳を過ぎても衰えないのは常に進化しようとする向上心があるからだ。

 横浜工藤が05年に記録した最年長2ケタ勝利の記録を破るまであと1勝と迫った。8月4日に200勝を達成したが、失速どころか勢いは増すばかり。「200勝しても自分の中では何も変わらない。工藤さんもまだ頑張るでしょう」と豪快に笑った。【鈴木忠平】