<日本ハム3-6ロッテ>◇20日◇東京ドーム

 日本ハムはロッテに3-6で敗れ、貯金ゼロに逆戻りした。2点ビハインドの8回裏無死一、二塁から2番工藤が送りバントを失敗し、反撃は1点止まり。9回に4番手で登板した武田久が自己ワーストの1イニング2被弾で2点失うと、追いかける力は残っていなかった。9勝13敗1分けで1年3カ月ぶりの月間負け越しとなった7月に続いて、8月も5勝9敗と波に乗れない。24日からのホーム西武2連戦で巻き返すしかない。

 大きな分岐点で、1つのミスが響いた。8回無死一、二塁。敵失、森本の単打がつながった。追う2点のビハインド。2番工藤には迷いなく、送りバントのサインが出た。中軸の一打で追いつくシーンへ転換しようとした。初球の変化球をファウルした2球目。ど真ん中の直球がバットの芯に当たる。投前へ転がった打球は、ロッテ川崎の正面へ。二塁走者・稲田が三塁で封殺された。

 球場中の期待、チャンスも一気にしぼんだ。セオリー通りの一手を打った梨田監督は、努めて穏やかに振り返った。「確かに痛かったけれどね…。また練習せないかんな」。結果論だが2死となった後、稲葉に代わる“暫定主砲”の小谷野が中前適時打を放った。もし走者が犠打で進塁していれば、二塁走者が俊足の森本だっただけに、一気に同点になっていた可能性が高かった。

 レギュラーシーズン残り32試合。現状では、勝率5割でクライマックスシリーズ進出圏のAクラスをキープしている。今季は田中の打順3番への配置転換が成功。その昨季までのリーグ連覇の原動力の1人が務め上げた2番の穴が埋まらないまま佳境を迎えた。投手の左右で左投手なら高口、右投手なら工藤、紺田、稲田らを起用してきたが、いまだ不動の「代役」が見つからない状況。懸案材料の1つが、3勝8敗で終わった11連戦の最終戦で、またクローズアップされた。

 昨季は田中が先発2番で56犠打(2番以外で2犠打)。今季も先発2番は田中の32試合12犠打が最多だが、田中以外の8人は80試合で計35犠打。つなぎのスモール・ベースボールを循環させる「心臓部」を担うべき人材が、いまだ台頭していない。工藤は「緊張とかではなくて技術不足」と猛省した。ボッツが爆発気配で、稲葉と故障離脱中のスレッジの復帰を見込む勝負の9月まで残り10日。日本ハムでは、時に4番以上の重責を担う2番は誰なのか。逆転3連覇への扉を開くカギを、梨田監督はこの日も手にできなかった。【高山通史】