<巨人6-5中日>◇25日◇東京ドーム

 北京五輪帰りの中日荒木雅博内野手(30)が、復帰即4打点の活躍を見せた。24日帰国したばかりの荒木は元気に2番二塁で先発出場。5回、2死満塁から走者一掃の3点二塁打を放ち、9回にも1打点を挙げた。チームは2点のリードを守れず、9回に逆転サヨナラ負けを喫したが、今後も続く主力の戦線復帰がチームに力を注入する。

 荒木が北京ショックを振り払う快打を放った。0-0で迎えた5回2死満塁、高橋尚の低めへのスライダーを完ぺきにとらえた。打球は左中間を破る走者一掃のタイムリー二塁打。「(先発の)中田が頑張っていたから何とか点を取ってやりたかった」。北京五輪日本代表の一員として24日に帰国したばかりの男がいきなり結果を出した。

 試合後、チームの逆転負けもあって荒木の表情は憔悴(しょうすい)していた。「きょうは疲れましたね…。試合中も何度かそれを感じることがあった」。代表組が帰国したのは24日の午後6時30分、その後に解散式などを終えて東京都内のチーム宿舎に着いたのは夜だった。「期待されたのにこんな結果になって残念です。負けた時は特に疲れますね」。メダルを逃したことの責任を感じていた。北京では、故障者が出たことから急きょ、星野ジャパンの2番二塁手として第4戦の韓国戦からスタメン出場を続けた。全9試合中8試合に出場して打率2割6分3厘、1本塁打。重圧と疲労で体重は2キロ以上減っていた。

 首脳陣はこの日、体調を考慮して川上、岩瀬を名古屋に戻して休養させることを決めた。森野の登録も見合わせた。だが、荒木だけは出場を直訴した。猛練習でレギュラーを勝ち取った荒木らしい決断だった。帰国即合流のため、実はバットは2本しか残っていなかった。「バットが折れたら交代ですね」とおどけながらも9回にも5点目を挙げる内野ゴロ。1人で4打点の活躍だった。

 荒木に続いて26日からは森野が復帰する予定だが、川上、岩瀬はチームと離れて調整することが決定。この日も最後は岩瀬不在が響いた敗戦だった。2位巨人と再び4・5差に広がったが、荒木の活躍を糧にして今日から首位阪神に挑む。【鈴木忠平】