<阪神4-0中日>◇26日◇甲子園

 阪神の投の主役は岩田だ。7イニングで3者凡退は2度だけだったが、粘りの投球で5安打無失点。勝ち星1つ先行の8勝目で、甲子園のお立ち台をゲットした。

 「厳しい所に行かないと僕のような投手は打たれてしまう。攻める気持ちしか持ってませんでした」

 ピンチになればなるほど内角に投げ込んだ。最大のヤマ場は2点リードの7回1死一、二塁。内高めの真っすぐで平田を二ゴロ、井端を三飛と力ない打球に仕留めた。いずれも球速は140キロに満たない130キロ台後半。それでも強気の攻めが相手を圧倒した。

 北京五輪に出場したソフトバンク杉内から、ヒントをもらった。同じ左腕で打たせて取るタイプ。テレビ画面を通じ、強豪韓国やオランダ打線の芯を面白いように外していた。「ピッチングに間があるなと感じました」。単調なリズムでなく、1球1球微妙に打者の呼吸を外す投球術。早速実践した結果は「いい方向に出ました」。内角攻め+投球術。投球の幅を広げた意義ある白星だった。

 「でもできれば完投したかったですね。次は中継ぎを休ませられる投球をしたい」。持ち越したプロ初完封を次回目標とした。2ケタ勝利も目前。自信だけを深めた110球だった。【松井清員】