<阪神1-4中日>◇27日◇甲子園

 最後の打球を見届けて、中日岩瀬仁紀投手(33)は小さくうなずいた。悪夢の北京から帰国後初登板で28セーブ目をマーク。「復帰といっても、ずっと野球をやっていたわけだし。ただ普段とはちょっと違った。しっかり自分を持って投げた」と話した。

 登録即クローザー起用だった。3点リードの最終回にマウンドに上がった。先頭の林への4球目、左邪飛に打ち取ったかに見えたが左翼手中村一がグラブからポロリと落球。北京の悪夢をほうふつさせたが、「特に気にすることじゃない。普通にあることだから」と動じない。林はバットをへし折る三直、関本を遊ゴロ、代打バルディリスを中飛。最速143キロの直球と自慢のスライダーで封じ「自分の状態はあんなものじゃないですかね」と冷静に話した。

 北京五輪は、リリーフとして4試合に登板。0勝3敗、防御率11・57と散々な内容だった。中日首脳陣は、休養も認める方針だった。だが拒んだ。「休んでも(気持ちが)切り替わるものじゃない。チームがゲームをしている以上、休まない。ゲームがなければ違うけど、試合がある以上はやる」と言った。チームの危機も救った。この日敗れれば、今季初めて勝率5割を割って借金生活に入るところだった。

 落合監督は「ちゃんとした使い方をすれば、ちゃんと抑える。勝ちパターンでいく投手はそういう使い方をしないと。長年、屋台骨を背負ってきているんだから」と絶大な信頼を寄せた。【益田一弘】