<中日3-4広島>◇30日◇ナゴヤドーム

 中日山本昌投手(43)の連勝が7で止まった。初回、アレックスに先制の12号2ランを被弾。6回にも1点を失い、7回7安打3失点で4敗目を喫した。攻守の要・井端が右ひざ靱帯(じんたい)損傷で戦線離脱する中、森野を1番に置いた急造打線は3点止まりで1点差負け。8月は8勝10敗1分となり、3、10月を除けば落合政権初の2カ月連続負け越しとなった。勝率5割に逆戻りし、4位広島にまた1ゲーム差に迫られた。

 

 ついに山本昌が止まった。試合終了の瞬間、ベテラン左腕はベンチでうつむいた。7回7安打3失点で4敗目。7月15日巨人戦(旭川)から始まった破竹の7連勝がストップした。

 初回にアレックスに2ランを浴びた後は立ち直ったが、分岐点となったのは5回の攻撃だった。広島先発斉藤から連続四球で無死一、二塁とした場面で打席に入った。ここで山本昌は送りバントを狙った初球、2球目をファウルし、追い込まれた。そして3球目。外角の際どいボール球を見逃したが、二塁走者デラロサが飛び出してタッチアウト。強攻せざるを得なくなった山本昌も遊ゴロに倒れ、あっという間にチャンスはしぼんだ。

 バントの名手と言われる山本昌のミスに、デラロサのミスが重なっては流れを引き寄せられない。逆に6回には先頭打者に四球を与えて一、三塁から併殺崩れの間に1点を追加されて0-3とされた。その裏に打線が2点を奪ったが、最後まで投打の歯車はチグハグだった。

 この日勝てば97年に並ぶ自己最多タイの8連勝。自身初の月間5勝となり、史上最年長月間MVPが決定的となっていた。「6回だね。先頭打者への四球が悔やまれます。バントはファウルがねえ。投球はまあまあだったんだけど…」。バント失敗、先頭打者への四球。プロの世界にはやってはいけないミスがある。プロ25年、通算203勝を積み上げてきたからこそ、それを痛いほど感じていた。

 4位広島に再び1ゲーム差とされた落合監督は苦笑いで言った。「バント失敗?

 まあ、そういうことなんだろうな」。これで7月に続いて8月も負け越しが決まった。落合政権になって2カ月連続(3月、10月を除く)の負け越しは初めてのことだ。【鈴木忠平】