<パCS第2ステージ:西武9-4日本ハム>◇第4戦◇21日◇西武ドーム

 日本ハムが追い詰められた。2勝2敗で迎えた西武とのクライマックスシリーズ(CS)第2ステージ第4戦。先発ブライアン・スウィーニー投手(34)が3回10安打7失点と炎上するなど9失点。打線も西武石井に7回までに13三振を奪われるなど、4点を返すのがやっとだった。日本シリーズ進出へ、残り2戦で1敗もできない。22日の第5戦をライアン・グリン投手(33)、23日の最終戦をダルビッシュ有投手(22)で逆転突破するしかない。

 張りのない声は時折、かき消された。失意の三塁側ベンチ。敗戦の弁を淡々と語る梨田監督を、グラウンドのど真ん中でヒーローインタビューに応じる石井一の弾んだ声が邪魔をした。明暗がくっきりと分かれたシーン。短期決戦の流れも、同じように一気に逆流する黒星だった。あと1敗で、今季終戦。「(CSが)始まる前から追い込まれているんやから…」と開き直るしかなかった。

 最悪の流れで、がけっぷちに追い込まれた。初回。石井一の立ち上がりを切り崩しかけた。2四球に犠打で1死一、二塁。CSで初の4番に抜てきされた高橋、この日までCS5戦3発のスレッジが連続で見逃し三振を喫した。これで勢いに乗った石井一に13三振奪われるなど、計15個もの「K」の山を積み上げた。ベテラン左腕に疲れが見えた7回に2死から2安打とタイムリーエラーで3得点、大勢が決した最終9回にボッツが放ったソロ弾が、せめてもの抵抗だった。

 西武1勝のアドバンテージも含め、2勝2敗でこの日を迎えた。制した方が日本シリーズに王手をかける大一番。結果論だが、後手後手に回った。1回のチャンスを逸したその裏、スウィーニーが一挙4失点。続く2回、ベンチは動かなかった。判断は続投だった。「あそこでは代えられない。そうすると(試合の)最後まで(投手が)回らない」。2番手坂元が4回から2イニング、3番手多田野が6回から1回2/3を無失点と好投した。ともにロング救援が可能なタイプだけに、後味の悪さも痛恨の1敗のスパイスになった。

 22日の第5戦。梨田監督はダルビッシュではなく、第1戦で4回途中10失点KOされたグリンを、予定通り指名した。あとがなくても前倒しせず、第6戦までの可能性を信じ、賭けに出る。序盤に崩れた場合は「3点くらい」で見切りをつけ、藤井らを投入する総力戦で臨む。左ふくらはぎ肉離れで3戦連続欠場中の稲葉も「明日は使ってみようという気になった。(試合前練習の)様子を見てみてだけれど」と、DH起用の可能性を示唆した。

 今季ラストゲームか。それとも“絶対エース”へ、3年連続日本シリーズをかけた大一番のバトンを託せるか。ダルビッシュは「普通に中4日でいくと思います」と信じて、出番を待つ。ダメージは決して小さくない、土俵際まで追い込まれた夜。稲葉は「行けと言われれば行く用意がある。監督を胴上げするためにやってきたから」と覚悟を示した。梨田監督率いる日本ハムが、土壇場で「挑戦者」になった。【高山通史】